このところドルに対して下げ続けている、トルコ・リラの交換レートについて、トルコ政府と国民はその理由が、外国による陰謀であることに、気が付き始めたようだ。それはそうであろう。あまりにも急激に交換レートが下がり、日常の生活にも影響を、及ぼし始めているのであろう。
これは外国による陰謀だとトルコ国民も、信じるようになってきている。このドルに対するトルコ・リラの下落の責任は、トルコ政府にあると答えた国民は、24・8パーセントであり、世界経済の悪化の影響だとする国民は、18パーセントとなっている。
また、トルコ経済の基礎が脆弱だからだ、と考えている国民は、9・2パーセントとなっている。
政党別に見てみると、野党第一党のCHP党員は20パーセントであり、与党のAKP党員は58・5パーセントが外国の陰謀によると考えている。
トルコ・リラは4月始めの段階で1ドルに対し、4トルコ・リラであったが、最近では1ドルに対して4・49トルコ・リラまで下げている。
トルコ・リラばかりではあるまい。アメリカによる外国の経済破壊工作は、軍事力ではなく経済つまり通貨の取引を使った戦争が、いま拡大しているのではないかと考えているが、その対象国はトルコに始まり、アメリカの敵対国イランであり、ロシアや中国もそうであろう。
このアメリカの経済戦争に対抗する手段は、現状では無さそうだ。それは未だにアメリカのドルが、世界に基軸通貨の地位を、占めていることによろう。一部ではロシアとイランがユーロで石油取引を始める、という情報も流れているが、それは容易なことではあるまい。
もし、ロシアやイランや中国などが、石油の取引をドルからユーロに変えることになれば、アメリカ経済は崩壊する危険に直面することになり、アメリカはそれを許しはすまい。つまり、世界の経済はそこまで、危機に直面し始めている、ということであり、それはアメリカに始まっている、ということではないのか。
アメリカがイランとの核合意破棄に動いたことに、EU各国が反発し、独自の立場を取り始めているのは、実はアメリカの横暴なやり方に、怒りを拡大しているからではないか。アメリカのイランに対する核合意の破棄は、イランに対する経済制裁を強化していくということであり、その結果、EUはイランとの貿易を止めざるを得なくなる。それはヨーロッパ諸国の経済に、大きなマイナスとなろう。最近、フランスのトタール社は、イランから撤退することを決めている。