『イランがサウジアラビア皇太子死亡説流す』

2018年5月19日

 

 イランとサウジアラビアとの関係は、非常に悪いため、双方がデマ情報を流して、相手国を陥れる策を練っているだろうことは、容易に想像できる。今回イランから流れてきた情報は、その類なのかあるいは真実なのかは、世界トップの産油国の皇太子の、命に関わるものだけに、看過出来まい。

 イランが流したムハンマド・ビン・サルマン皇太子死亡説とは、簡単に説明すると次のようなものだ。『サウジアラビアの王宮で4月21日に起こったクーデターによって、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は銃撃を受け死亡した模様だ。』。

 このことと関連してか、サウジアラビアの政府筋は、同じ時期に許可なしのドローンが、王宮に飛来したために、撃ち落されたのだと説明している。つまり王宮から聞こえてきた銃撃音は、ドローンを撃墜するためのものだった、ということであろう。

 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の死亡説が流れた裏には、通常要人と会談した折に撮られる写真が、最近公表されていないからのようだ。その結果、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子死亡説が流れ、ドローン撃墜のために発砲された銃撃音は、クーデターによるものと判断された、ということであろう。

 しかも、以前にムハンマド・ビン・サルマン皇太子が強行した、汚職関係者逮捕事件から、国内には反王制のクーデター計画があった、という情報が飛び交っていた。その結果、逮捕された王族やビジネスマンたちは、リヤドのリッツ・カールトン・ホテルを臨時の留置所として収監され、罰金を支払うことを認めた者たちは、釈放されたということだった。

 しかし、今回のイランの皇太子死亡説は、納得が行かない。421日にクーデターが起こっていたとすれば、既に1ヶ月が過ぎているわけであり、もう隠しきれずもっと事実が外部に、伝わっていたものと思われるからだ。

 どうやら、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子に関する話は、昨日書いた情報の方が、事実に近いのではないか。だが、この襲撃事件ではムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、負傷したのか否かについての情報は、伝えられなかった。あるいは負傷して治療を受けている、可能性はあろう。また運が悪ければ、重傷を負っており、死亡につながるかもしれない。その辺のことは、いまの段階では分かりかねる。ただ、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子に関する何らかの事件が、起こったことは事実であろう。