『シリアのアサド大統領各国それぞれ』

2018年5月 8日

 

 シリアのアサド体制にどう対応するかで、各国の対応と見解に、意見の相違があるようだ。最も厳しいのはイスラエルであり、それは当然であろう、イスラエルはシリアと隣接しており、戦争状態にある、しかも、シリア国内のイスラエルに近いゴラン地域には、イラン軍が陣取っているのだ。

 そこからイランとシリアに攻撃をされるのでは、さすがのイスラエルも対応が困難であろう。最新鋭の兵器は破壊力も大きいが、性能が大幅に向上しているからだ。そのため、イスラエルのネタニヤフ首相は、もしイランがシリアからイスラエルを攻撃するのであれば、アサド体制を打倒する、と語っている。つまり、最終的な対応案を公表したということだ。

 アメリカはどうしてもアサド体制を、打倒したいと考えているようだ、あるいは、シリアの北3分の1の領土を、実質的に支配したい、と考えているのであろう。そこはシリアの石油ガス埋蔵地域だからであり、ペルシャ湾の海底ガスの地中海への、移送ルートに当たるからだ。

 アメリカにはアサド体制を打倒しないまでも、シリアを分割して自国の利益を図る、という妥協的な考えもあるといわれている。イスラエルに比べればアメリカの考えは少し緩いのかもしれないが、アメリカはシリア対応のための、傭兵を大量に抱え込む方針でいる。

 フランスのマクロン大統領は、シリアが旧フランス植民地であったということからか、もう少し緩やかな対応を考えており、アサド体制打倒は絶対条件ではないとしている。それでもフランスは経済的権益は抑えたい、と思っているであろうから、アメリカとあまり変わらない対応を、考えているのであろう。

 フランスの経済状況はよくないため、シリアに限らずイランに対しても、アメリカとは異なる立ち位置にいる。それが和平へ道を開くのであれば、マクロン大統領に対する国際的な評価も、上がるのであろうが、実際はどうであろうか。マクロン大統領の心の中に潜んでいるのは、悪魔の考えであろう。