トルコのエルドアン大統領はヨーロッパ諸国で、6月24日の大統領選挙に向け、ヨーロッパ在住トルコ人を対象とする、大集会を企画している。それは、ヨーロッパに在住するトルコ人の数が、550万人を超え、ドイツだけでも300万人に、達しているからだ。
このヨーロッパ在住のトルコ人の票を獲得すれば、選挙に勝利できるということではなく、エルドアン大統領に対するトルコ人の支持が、どれだけ強いかを、欧米に知らしめることが出来る、という計算に基づくものであろう。
しかし、これまでも試みられた地方選挙や、憲法改正前の大集会は、ヨーロッパ諸国によってことごとく、禁止されてきている。今回はその経験から、オランダやドイツ、オーストリアなどでは、今度も禁止されるだろう、というのがトルコの読みだ。
そうしたなかで、ボスニアでの集会は認められることになり、ボスニアで選挙キャンペーンの大集会を、開催することになったのだ。この大集会には全ヨーロッパから、1万人のトルコ人が参加する、と見込まれている。彼らが定住先に戻り、宣伝してくれることを、計算してのものであろう。
エルドアン大統領はこうした、ヨーロッパ諸国の厳しい対応は、特にAKPに対するものであり、野党は小規模な選挙キャンペーンを、展開することが出来ている、と不満を述べている。
つまり、ヨーロッパ諸国によるトルコの大統領選に向けた、大集会が禁止されているのは、はっきり言えば、エルドアン大統領に対する、嫌悪の感情からであろう。トルコ人が多数集まれば、そこでは、エルドアン大統領を賞賛する言葉が繰り返され、トルコの民族意識が高揚され、その後にはトルコ人による。危険な動きが始まるかもしれないのだ。
どちらかというと、特別な場合、特別な場所の他では、静かに生活しているヨーロッパ人に、トルコ人のような激高するタイプの人種は、嫌いだということも、あるのかも知れない。ヨーロッパ人の間にはこうしたことに加え、オスマン帝国時代のヨーロッパ侵攻の悪夢が、未だに残っていることも、そのトルコ嫌いの、一因であろう。
歴史に記された民族や、国家間の対立は、なかなか消し去れないものなのであろう。