中東では何のこれといったニュースも無い日があるが、時にはあっと驚くようなニュースが、固まって飛び出す場合もある。今日はそのような日なのかもしれない。
:マハムード・アッバース議長ホロコースとはユダヤに原因があったと語る
パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長は、ユダヤ人がこうむったホロコーストの原因は、ユダヤ人にあったと語った。ユダヤ人の横暴な振る舞いが、ヨーロッパ社会を怒らせ、あのような惨劇につながったというのだ。
こうした発言は確かにある意味で、正鵠を射ている部分もある。マハムード・アッバース議長がこの事を持ち出したのには、彼の心のなかの鬱憤が、大分溜まっていたからであろう。
アメリカのトランプ大統領は、エルサレムを不可分のイスラエルの首都と認め、大使館もエルサレムに移転することを決め、その移転式に参加するとも言っている。こうなると、パレスチナ国家設立の夢は、夢に終わる可能性が高くなろう。
あるいは、今回のマハムード・アッバース議長の発言は、ヨーロッパ諸国を味方につけるためのものかもしれない。今回のマハムード・アッバース議長の発言の後の、ヨーロッパ諸国の反応を見よう。
:トルコ選挙がらみの作戦数々
トルコの大統領選挙は間も無く、行われることになっているが、この選挙に向けて、与党AKPは数々の妙案を、打ち出している。第一は、エルドアン大統領の学歴詐称を問題にしないため、トルコの選挙管理委員会は学歴を公表しなくていい、というルールを決めた。
この結果、エルドアン大統領はマルマラ大学を出たという嘘を、つく必要がなくなったということであろう。
与党AKPは若者の与党への支持を増やし、野党側を切り崩すために、若者の選挙参加を促し、しかも立候補を奨励し始めた。当然の帰結として、若者たちはこのチャンスをものにしようと、政治への関心を高めている。
与党が選挙で勝利するためには、経済の活性化が必要であろう。そこでAKPは国際機関の、トルコの経済に関する評価が上がっている、と宣伝し始めている。加えて、エルドアン大統領のウズベキスタン訪問で、両国はあらゆる分野で協力する合意に至った、と発表した。つまり、ウズベキスタンとの合意で、トルコは経済改善の大きなステップを、踏んだと言いたいわけだ。
しかし、5月1日のメーデイでは大規模なデモが行われ、84人が逮捕されている。トルコでは失業者が増え、労働環境は劣悪であり、労働の場で死傷する者は少なくない。その事がつい最近、新聞紙上を賑していた。
:アメリカはイランとイスラエル・サウジアラビアを戦争に導くつもり
イランのハメネイ大統領や革命防衛隊のトップは、アメリカがイランとイスラエルとの戦争を、仕掛けていると非難している。また、ハメネイ師はアメリカはイランとサウジアラビアとの戦争も、画策していると語っている。
他方、イスラエルでは、クネセト(国会)がネタニヤフ首相と国防相に対して、開戦の権限を与えたと報じられている。イスラエルはまた、イランとの緊張を煽るかのように、モサドがイランから500キロもの秘密書類を、持ち出したことを公表している。この書類は全て核開発に関連するものだ。加えて、イスラエルはイランのミサイル・サイトを、攻撃する計画を立てたことも、発表している。
イスラエルはアメリカの意向を受けてか、イランの核の脅威をイスラエル国民と世界に対して、訴えているということだが、果たして、イランから500キロもの核関連資料を、モサドといえども搬出することが、可能なのであろうかと思うのだが。