『ISがダマスカス南部地域から撤退』

2018年5月21日

 

 日曜日に、IS(ISIL)とシリア政府の交渉が成立して、IS(ISIL)の戦闘員と家族が、バスでダマスカス南部地域から、脱出したと報じられた。ダマスカスの南部とは、パレスチナ人のヤルムーク・キャンプのある地域であり、もう一つはハジャル・アスワド地域だ。

 しかし、シリア政府はIS(ISIL)との交渉は妥結しておらず、シリア軍はハジャル・アスワドなどでは、今後もIS(ISIL)掃討作戦を継続する、と発表している。それでも、IS(ISIL)の脱出は続いている模様で、彼らはバデア地域に向かっている、ということのようだ。このバデア地域はダマスカスの東側に、位置している地域だ。

 このダマスカス南部での戦闘は、1週間ほど続き、双方に相当の犠牲が出ている。IS(ISIL)側の戦死者は484人、シリア軍側からも250人の戦死者が、出ている模様だ。結果的にシリア政府軍は、ヤルムーク・キャンプの70パーセントを、解放したということだ。

 このヤルムーク・キャンプには、パレスチナ難民やシリア人が、16万人ほど住んでいた所だったのだが、現在では数百人しか、残っていないということだ。他は死亡したか、他の場所に避難したということだ。

 このことも、シリアではアサド政府側が、ロシアの支援を受け、大分強化され、優位に立っている、ということの証明であろう。アサド大統領がロシアのソチを訪問して、プーチン大統領に会ったが、その折、プーチン大統領はシリア領土から、全ての外国軍を追放する、と語っている。

 ロシアの判断では、どうやらその見通しが、立ってきたということであろう。ただそれではアメリカ軍が、すんなり引くかというと、そうでもあるまい。ロシアはどうやってアメリカ軍を、シリアから追い出すつもりなのであろうか。またトルコ軍の場合も容易ではあるまい。

それは政治交渉を始めるということか、ロシアはシリアに対して、政治交渉を始める時期だ、とは言っていたのだが。