ドイツがサウジアラビアとアラブ首長国連邦に対して、武器の輸出を止める方向にある。もし、これが正式に決定されれば、地域の状況には、大きな変化が生まれよう。述べるまでも無く、武器の輸出は大きな利益を生むものであり、このことで関係が強化されれば、他の物品の輸出も拡大することが、見込まれる。
しかし、ドイツは3年にも及ぶイエメンとサウジアラビア・アラブ首長国連邦の戦争がもたらす惨禍を、見過ごすことが出来なかったのであろう。60万人のイエメン人が殺され、22万2千人が食糧難の状態にあるのだ。そして10万人のイエメン人が家を追われてもいるのだ。
サウジアラビアはドイツからパトロール・ボートを輸入し、イエメンの港の監視に当たっているが、そのためにイエメンには、援助物資が搬入できない状態が、生まれている。このことがイエメン住民の食糧難を、生み出しているのだ。
そればかりか、イエメンでは医薬品が大幅に不足しているために、国内で広がるコレラに対する治療が出来ず、何十万人もの患者が出ており、死亡している人たちも、少なくないのだ。
今回の、ドイツのサウジアラビアとアラブ首長国連邦に対する、武器輸出中止が正式に決定されれば、ドイツは武器の輸出、武器関連の物品の輸出を、止めることになるが、それは以前に契約されたものの、キャンセルをも含むことになりそうだ。
問題は、イランがイエメンのホウシ派に対して、武器を供給しているといわれているが、イランを始め、イエメンの反体制派に対する武器の流れを、どのようにして阻止するか、ということであろう。
ホウシ派によるサウジアラビア国内への、ミサイル攻撃が繰り返されており、ホウシ派のミサイルはサウジアラビアの空港など、都市部にも届いているのだ。
イスラエルを訪問しているアメリカのポンペオ国務長官は、サウジアラビアに対してイエメン戦争を手控えるよう、苦言を呈している。その事は欧米の間でイエメン戦争を終わらせようという意志が、働いているのかもしれない。