シリアの反体制側交渉者代表である、ナスル・ハリーリ氏が次のような意見を、述べている。『アメリカはシリアから早急に、軍を撤収すると言っているが、アメリカのIS掃討作戦は、まだ完了していない。』と語り、シリアでの戦いは砂のなかを歩き回るようなものであり、ISはここで叩いても、また他の場所で顔を出してくる。アメリカがIS掃討を第一重点事項としても、それは無理だというのだ。
ナスル・ハリーリ氏は政治的解決以外に、シリア問題を終わらせる方法は無い、と語っている。そして、その政治解決とは、アサド大統領を外すことだ、とも語っている。なぜならば、アサド大統領には軍事解決しか考えが無く、政治交渉をする気が無いからだ、ということだ。
そして、政治解決の基本はロシアとアメリカが、合意することであり、それに先立って話し合うことだ、としている。それは相当困難な交渉となろうということだ。
確かに ロシアはシリアに2015年以来、軍を派兵しているが、軍事力だけでシリア全土を、コントロールすることは出来まい。従って、ロシアも政治解決に頼るしかないのだ、ということになろう。
サウジアラビアや他のアラブ諸国、例えばエジプトやヨルダン、アラブ首長国連邦などが、アメリカの要請によりアメリカ軍に代わる軍として、シリアに派兵するということなのだが、それはどの国も本音では望んではいまい。
アメリカはミリシア・グループに、武器を与えることも止めるべきだ。アメリカが本気でアメリカ軍の、シリアからの撤収を望むのであれば、アメリカは方針を変えなければならない、ということになる。
確かに・ナスル・ハリーリ氏の言う通りであろう。だがそれも、そう簡単には前進しない、ということも事実だ。