リビア東部の実質的トップであったハフタル将軍が、危篤状態に陥っている。これは4月5日にヨルダン病院で治療不可能とされ、フランスの病院に移送されたことで、明るみに出てきていた。
このフランスの病院というの、実は分けありというか、とんでもないところのようだ。外国の要人が重病になった場合に、担ぎ込まれることで知られ、内部からは全く情報が漏れない、仕組みになっているようだ。病院名はヴァル・デ・グラス・ホスピタル、フランス軍直轄の病院なのだ。
ハフタル将軍の病状は、極度のアルツハイマーと言われ、加えて、呼吸困難とも伝えられている。また脳梗塞説も流れている。フランスの病院にはハフタル将軍の家族と彼の右腕といわれている、アウン・アル・フィルジャーニ氏が付き添っている。(一部では既に、ハフタル将軍の死亡説も流れている』
ハフタル将軍の功績は、混乱するリビア国内で、旧カダフィ派やイスラム原理主義者、部族などを統合することに成功し、外敵をベンガジから排除したことであろう。またベンガジを拠点とする、アウラーキ部族も抱き込みに、成功したことにあろう。その後、ハフタル将軍はベンガジを中心に、経済再建を図り、他部族も抱き込んでいっていた。
ハフタル将軍の後釜に誰が座るのかということが、現時点での最大関心事となっているが、先に述べたハフタル将軍の右腕であるアウン・アル・フィルジャーニが有力であり、次いでアブドッサラム・ハ-シ、軍人のマブルーク・サハバーン、イドリス・マーデイ、アブドッラージク・アルヌズーリなどの名前が挙がっている。
そして、ハフタル将軍の子息ハーリド・ハフタルの名前も、浮かんできている。彼はアブドルラージク・アルヌズーリと共に、特別部隊を構成していた。
東リビアの状況はといえば、ベイダ地域はバラエーサ部族が支配し、トブルク地区はオベイダート部族が支配している。これらの有力部族がハフタル後を、狙っていることは容易に想像が付こう。東リビアではこのほか共和勢力を、アワーギル部族が支持している。
西リビア政府のセラジ首相は、ハフタル将軍が病気で倒れたことにより、力を増しているようだ。セラジ首相は今年末までに選挙を実施し、彼の地位を固めることが予測される。そのためにはハフタル派の、抱き込み工作も行われるであろう。
そうした動きのなかでは、東リビアを押さえている、アブドッラージク・アルヌズーリの力を、軽視するわけにはいかなそうだ。いずれにせよ、いまの段階ではまだリビアの今後は、見えていないということであろう。