中東のサイトを10数箇所見ているが、これといったニュースが無い日も少なくない。そうした日は、なんか損をした気分になるのだが、世の中が落ち着いている、証拠でもあろう。そうした日には、その日出たニュースで、これから問題になりそうなものや、詳細が報じられていないものを拾って、中東短信としてお送りしている。今日は以下のようなニュースが今後大事になっていくかも知れない。
:トルコ経済悪化
トルコの外貨獲得の手段は、述べるまでもなく輸出だが、トルコは高度な工業製品を造って、輸出するレベルには達しておらず、外国、例えば日本の企業が車の組み立てをやっているのを、輸出するといった具合であろう。後は軽工業品が主であり、観光などだ。
それ以外に、トルコが外貨を得ているのは、外国からの借り入れであり、もう一つは不動産の販売だ。イスタンブールのボスポラス海峡に面した側は、風光明媚であり外国の金持ちが、高級マンションや一戸建てを、買っているのだ。
しかし、その高級家屋の外国人への売れ行きが、下がってきているようだ。トルコ政府の発表によれば、その傾向は3月から明確に、なっているということだ。もちろん、トルコ国民の不動産購入の割合も、下がっている。つまり、トルコの不動産建築業界は冬の時代を、迎えているのかもしれない。
加えて、トルコではトルコ・リラ安が影響してか、インフレが昂進している。庶民の生活が苦しくなってきている、ということであろう。これは早められた大統領選挙に、影響を及ぼすものと思われる。それがもっと進んだ場合は、トルコ国民のエルドアン大統領に対する、支持が下がることから、与党AKPは選挙を来年から、今年に早めたのだ。
:エジプトはアメリカ軍の代理派兵拒否
アメリカは出来るだけ自国民の犠牲を減らそうとして、世界で展開しているアメリカ軍の代わりに、それぞれの地域の国々の軍隊を使って、アメリカの支配を続けようとしている。トランプ大統領は『早急にシリアからアメリカ軍を撤退させる。」と言ったが、それではまさに力の空白が、シリアに生じてしまい、混乱が生まれよう。
そこでアメリカが考えているのは、シリアにエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの軍隊を派遣して、その穴を埋める作戦だ。いわばこれらの国々は、アメリカの命令に従って、傭兵を出すということだ。
これに対してエジプトは、自国軍のシリアへの派兵は拒否する、と言い出している。そこには同じアラブの国同士という感情があり、シリア軍やシリアのミリシアと戦うような状態には、なりたくないということであろう。
ただそのエジプトの対応に対して、アメリカは経済的圧力を、掛けてくることは必定であり、エジプト国内でテロを起こし、観光産業にダメージを与えることも考えよう。従って、アメリカの要求に対する『ノー』は、エジプトにとっては、極めて危険なことでもあろう。