『世は外人部隊のシーズンか』

2018年4月18日

 私が少年だった頃に、外国映画で外人部隊を取り扱ったものが、多かったように記憶する。ストーリーそのものは、ヨーロッパから来た外人部隊の兵士と、それを追いかけてきた、酒場の女性とのラブストーリーであり、最後は悲劇に終わる、というものだったような気がする。

 それほど格好良くは無いのだが、最近この外人部隊のようなものが、増えてきている。正規の兵士ではない、雇われ戦闘員たちが、戦闘現場で働いているのだ。それは国家の法に、縛られることがないため、相当乱暴なことをしているようだ。例えば拷問や虐殺だ。雇っている国家は、その罪を問われずに済むから、極めて安易なのだ。

 アメリカはイラクでもシリアでの戦闘でも、この雇われ戦闘員を使ってきているし、なにやら人道支援という、仮面をかむっている、人道支援部隊と呼ばれる、ホワイト・ヘルメットの集団も、アメリカに雇われた戦闘員だ。

 彼らは化学兵器を使用した、といわれる場所に行って、そこに化学兵器の材料をばら撒いたりし、その後に国際調査団が入り、化学兵器が使用されたという、報告が出るような仕組みを作っているのだ。シリアではまさにこの手の、犯罪とも呼べる行為が行われているのだ。

 そうした回りくどい方法ではく、直接に現地人を殺害する戦闘集団を、アメリカはいまシリア向けに、結成しようと思っているようだ。つい最近、アメリカ政府はシリアの安全確保のために、60000人から63000人の傭兵が必要だ、と言い出している。

彼ら傭兵にアメリカ軍が撤退した後を、任せようということであろう。その場合アメリカ軍の兵士はほとんどが、撤収できアメリカ政府はアメリカ国民の前で、大きな問題を解決した、と主張できよう。

しかし、傭兵による治安維持や安全確保は、相当乱暴なものになるのではなかろうか。トランプ大統領はシリアからのアメリカ軍の撤退を、何度も口にしているが、実はこの傭兵によるものであり、その費用はアラブ湾岸諸国から、徴収するということであろう。

加えて、サウジアラビアも1000人のアフリカ兵を、集めたいと思い募集しているようだ。それは述べるまでもなく、イエメン戦線に投入される、ということであろう。サウジアラビアのイエメン進攻は大分時間が経過しているが、まだ先が見えない状態にあり、発表は押さえられ、報道にはでて来ないが、やはり、相当数のサウジ兵の死亡は事実であり、その数が増えていけば、国内ではイエメン派兵反対が、起こることは必定であろう。

その意味では、アフリカ兵を雇うというのは、得策であろう。何人犠牲になろうとも、それは国内的には、問題を生まないからだ。せいぜい、一人300500ドル程度のカネを、支払うことで、アフリカ人戦闘員を、確保できるのだ。

こうした傭兵作戦が一般化していくと、各国は自国民の血を流さないため、戦争をしているという実感が、沸かなくなり戦闘が長期化することもありえよう。それはコンピューターで敵を攻撃するのと同じだ。洒落たオフィスでコンピューターの画像を見ていて、ボタンを押すだけでミサイルがそこに、撃ち込まれるので、誰も罪悪感を抱かなくて済む。

戦闘機のパイロットも同じであろう。機内の画像を見ながらボタンを押すと、白黒画面にパッと広がる光が、ミサイルの爆発の状況なのだ。戦争の高度化は次第に、人間の神経を麻痺させているようだ。