『アメリカのシリア攻撃は成功したのか』

2018年4月15日

 

 アメリカのトランプ大統領は、シリア攻撃が大成功だった、と自己評価している。曰く『ミッション・コンプリ』だとか。しかし、彼が言うとおり今回のシリア攻撃は、成功だったのであろうか、疑問が浮かぶところだ。

 それは、アメリカと同盟国のイギリスや、フランスが放ったミサイルは、最終的に105発だったということだ。最初103発と言っていたのが、今日になって2発増えている。これに対して、ロシアは103発のミサイルが撃たれ、そのうちの71発がシリア軍によって撃墜された、と報告している。

 ロシアがシリアに武器を供与しているわけだから、多少の上げ底の可能性もあるが、ほぼ正確なのではないかと思われる。いまの武器はコンピューターが内臓されており、ほぼ正確に作動するからだ。

 アメリカは自国のミサイルが、片端から撃墜されたことを、どう評価しているのか、聞いてみたいものだ。攻撃もロシアの反撃を恐れてか、大分手控え気味だったと思っている。そうなるとシリア側の被害は、それほどでもなかったものと思われる。

 シリア軍はロシア側から言われ、事前にシリア基地などから兵士を、ロシア軍基地に移動していたし、飛行機など武器も移動していた。加えて、レバノンのヘズブラもレバノンに帰国して、シリアにはいなかった。

 アメリカとイギリス・フランスは、もぬけの殻の建物に向けて、ミサイルを発射したということだ。当然そのために人的犠牲も、ほとんどで出ず3人程度が、負傷したと報告されている。もし、アメリカが主張したように、それらの建物が化学兵器の倉庫であったのであれば、ミサイル攻撃で毒ガスが散乱したものと思われるのだが、そうでもないようだ。

 アメリカがシリア攻撃を実行したのは、サウジアラビアから30億ドル取っていたからではないかと思われる。サウジアラビアはアサド体制を打倒して欲しい、とアメリカに言い、アメリカはそれなら30億ドル出せ、と言って金を取っていたからだ。

 なにやら用心棒のような役回りであり、しかも、シリア攻撃の根拠を世界に示さずに、攻撃したのだから、暴力団と同じ手口ではないか。それを軽々に支持した、日本も同罪であろう。根拠を示されることなく、アメリカがシリアを攻撃すると、すぐさまそれを支持したのだ。

 さて、今回のアメリカによるシリアへの攻撃で、明らかになったことがある。それはロシア製武器が優秀で、安価だということだ。ロシアが主張するように、103発のうち71発が打ち落とされたのであれば、ロシア製ミサイルは極め優秀な性能を、持っているということになる。

 他方、次々と打ち落とされたアメリカのミサイルは、評価が下がったということではないか。今回の攻撃以前から、ロシア製武器への評価が高まっていたが、これで明らかになったであろう。そういう流れのなかでは、いやおうにもロシアのS400ミサイルへの評価が、高まろう。

 アメリカの最大の輸出品目である、武器が売れなくなれば、アメリカの経済はますます悪化する、ということだ。どんなに脅し、デタラメな情報を流布しても、世界はアメリカの言うことを聞かなくなり、信用しなくなっていくのではないか。