『シリア問題で米露対決が危険な状況を創出』

2018年4月14日

 

 シリアが化学兵器を使用した、とアメリカが非難し、シリアのアサド体制を打倒する、と声高に唱え始めて、時間が経過しているが、その事は、シリアを支援するロシアとアメリカとの、対立を生み出してもいる。

 世界ではこれが第三次世界大戦に、発展する危険なものだ、と警戒する意見が、少なくない。私はそのような状況は生まれない、と考えているが、その代わりに、とんでもないことが進んでいるようだ。

 アメリカはシリアを支援するロシアを、追い詰めるために、経済戦争を仕掛けているのだ。ロシアの企業に対する締め付けを強化し、ロシア企業の在米資産を凍結し、銀行を閉鎖させているのだ。

 それだけならアメリカとロシアの喧嘩であり、その他の国々は関係ない、と言いたいところだが、アメリカはロシアと関係のある他の国々の企業にも、締め付けを始めているのだ。例えば、ロシアと取り引きしている企業は、その関係を絶たなければ、ロシア企業と同じような制裁を受ける、ということなのだ。その企業も在米資産が凍結され、銀行勘定は閉鎖されるし、他の国々とのドル決済も、出来なくなるということだ。

 これでは世界中の国々の企業が、ロシアとの完全な経済取引関係の終りを告げなければ、倒産してしまうということであろう。もちろん、そのなかには日本の企業も、対称として含まれているのだ。従って、日本の企業はいまあわてて、ロシアとの取引関係を凍結する方向に、動き出しているものと思われる。

 あるロシア企業の日本支店幹部は、銀行から金が引き出せず、明日の生活が不安だ、と言っていたということだ。彼は支店の幹部であったことから、それなりの高給を食んでいたものと思われるが、突然『王様から乞食』に変わるということだ。

 この制裁は、銀行、製造業その他、広範に渡るが、銀行はロシアとの取引を止め、ロシアからアルミ材を輸入している自動車メーカーなどは、輸入できなくなるのだ。体力の無い企業は、今回のトランプ・ショックで、倒産してしまうかもしれない。

 まさに『そこにある危機』といった感じのなかに、いまの日本の企業は、追い込まれているのだ。嫌になるのは、シリアが化学兵器を使用したというのは、アメリカが言い出したデマだ、と主張する人達が、多数いるのだ。

 アメリカの元共和党議員で、大統領に立候補した人物ロンポール氏、イギリスの野党党首のコービン氏など多数いるのだ。アメリカのマチス国防長官も、化学兵器使用の証拠は無い、といった内容の発言を、しているのにだ。

 イギリスのメイ首相は太鼓を叩いて、シリアの化学兵器使用を宣伝し、アメリカに早く戦争を始めろ、とけしかけている。以前、湾岸危機の時も、イギリスのサッチャー首相は、ブッシュ大統領に戦争を、けしかけていた。

フランスのマクロン大統領も戦争賛成派だ。しかも、イギリス同様に参戦する、とまで言っている。しかし、ドイツのメルケル首相やオランダ政府は、その限りではなく、冷静な対応を考えている。それは、ドイツ・ロシア経済関係が、深いことにあるのかもしれない。