リビアの国内状況が、大分複雑になってきているようだ。リビア国内は大きく分けて3分割され、そのなかで東西リビアはそれなりに、政府を維持してきている。西のトリポリ政府はセラジという、国連の傀儡が力の無いままで治め、東はハフタル将軍が実権を握ってきている。
その力のない西のセラジ政府は治安維持を、部族のミリシア集団に任せてきていたが、それが最近になって、問題があることが発覚している。ミリシア集団は勝手に市民を捕まえ、拉致し、投獄し、拷問し、死に至らしめているというのだ。しかも、そのなかには女性も子供も、含まれているということだ。
拷問は鉄棒で殴打することや、電気ショックを与えるというものだ。正式な投獄者の数は6500人、それ以外にも数千人が拘留所などに、収監されているようだ。
逮捕され投獄されている者の多くは、政治犯でありジャーナリストだということだが、実際は彼らの敵であり、政府の敵ということなのであろう。
同じ様なことは、東リビア政府の下でも起きており、東リビアではクエイフィア刑務所に1800人が投獄されているということだ。東リビアでは拷問によって、死亡した人たちの遺体は、路上に捨てられたり、ごみ置き場に捨てられているということだ。
西リビアでの犯罪的な逮捕は、何故いま明らかになってきているのであろうか。簡単に言えば、セラジ首相の能力を欧米諸国や、国連は見限った、ということであり、近く更迭されるか、暗殺されることになるのではないか。西リビアの実権は部族のミリシアが握っており、彼らにはセラジ政府が、給与を支払ってもいる。
では東リビアはどうかというと、ハフタル将軍が健康を害し、意識不明となり、ヨルダンの病院に担ぎ込まれ、その後フランスの病院に運ばれたということだ。がんを患っているという情報もあるが、真相は不明であり、東リビアの軍部はハフタル将軍の、病気説を否定している。
しかし、ハフタル将軍は75歳と高齢であり(リビアでは高齢)、十分にありうる話だ。彼の病気が長引いたり、死亡した場合には、新たな混乱が生まれるものと思われる。しかも、これまでのところハフタル将軍の後継者は、明らかになっていないことから、権力争いが東リビアで起こるのではないか。
そうした混とんとした状況が、東西リビアで発生して来ている現在、リビア国民の間からカダフィ大佐の子息、サイフルイスラームへの期待が、高まるかもしれない。彼はいまのところ所在を明らかにしておらず、彼の代理人の弁護士が、チュニスでサイフルイスラームの大統領選挙への、立候補を発表している。