『トランプ大統領はシリア攻撃を口にするが』

2018年4月12日

 

 シリアのアサド大統領は化学兵器を使用し、多くの自国民を虐殺してきている。この行為は獣のような振る舞いであり、決して許されるべきではない、とトランプ大統領はシリアのアサド大統領と彼の体制を、激しく非難した。

 その言葉が意味するところは『シリアが化学兵器で自国民を殺害したのだから、懲罰攻撃を行う。』というものだ。アメリカはシリアの首都ダマスカスに対してか、あるいはシリア軍の基地に対してスマート爆弾で攻撃を加えると言っている。

 これに対し、ロシアは応分の報復を行い、アメリカのシリアに対する攻撃を放置することはない、と言っている。そのアメリカとロシアの立場が事実であり、実行されることになればシリアを皮切りに、アメリカとロシアは第三次世界大戦に、突入するのではないか、という懸念が世界中で広がっている。

 しかし、このアメリカとロシアとの緊張関係が発生した、そもそものシリアによる毒ガス兵器使用について、何も明確な証拠が出されていないのだ。アメリカはアサド体制が使ったというが、ロシアはそれを否定している。

ロシア証拠を出せとアメリカに迫っても、アメリカはただ『シリアが毒ガス兵器を使った。』と繰り返し怒鳴っているだけであり、そのアメリカの主張を世界中で固定化しようとし、マスコミをフル動員している感じだ。

ロシアはつい最近、毒ガスが使われたという場所で、土を採取し検査したのだが、毒ガスの成分は何も、発見されなかった、と言っている。また、アメリカの共和党議員だったロン・ポール氏は『毒ガス兵器の使用は作り話だ。』と否定している。

このシリアの毒ガス兵器使用の話の前には、イギリスが二重スパイに対し、ロシアは暗殺を試みたという嘘を、大宣伝している。そのイギリスが指摘していた化学物質が、本当に使われていたのであれば、とんでもない被害が出たのだが、事実はそうはなっていない。被害者と一緒にいた娘は、短期入院で正常な状態に、戻ってもいるのだ。

しかし、イギリスの宣伝効果で世界中の国々が、ロシア外交官を追放することとなった。嘘がばれても、イギリスにとっては大成功だった、ということであろう。ただ、このようなことを繰り返していたのでは、イギリスの国際社会の中での信用度が、大幅に落ちることになろう。

今回のアメリカによるシリア非難もしかりであろう。アメリカの主張を支持する国としない国の色分けが、国連の場でハッキリするのだから、シリアの化学兵器問題は、アメリカにとっては世界の国々を試す、リトマス試験紙のようなものであろう。

さてこのような嘘に基づいて、アメリカはシリアを攻撃し、多くのシリアの市民を殺害し、ロシア兵の多数がそれに巻きこまれて死亡し、ロシア政府がアメリカに対する報復を決定して、大戦争に拡大することを、トランプは覚悟しているのであろうか。

北朝鮮問題でも、トランプは大口をたたいたが、結局、北朝鮮のトップと交渉することになった。もういい加減に嘘ハッタリ、大見えを言うのは止めるべきではないか、アメリカ人は騙せても、世界の人たちはその嘘を、既に見破っているのだから。