『トランプ大統領シリアからの米軍撤退希望』

2018年4月 5日

 

 アメリカのトランプ大統領は突然、シリア(イスラム諸国)からのアメリカ軍撤退を口にした。もう費用のかさむ人道支援は、止めるということであろう。私に言わせれば、アメリカ軍が中東諸国で展開しているのは、決して人道支援目的ではなく、アメリカの利益追求が目的なのだが、アメリカ人はそうは考えない。

 アメリカは世界一強く、正義であり、豊かだという発想(幻想)が、1950~60年代のアメリカと同じように、いまでもあるのだろうか。あるとすればそれは、幻想でしかあるまい。アメリカの経済は株高ではあるが、実態はバルーンなのだ。

 そうしたアメリカ経済の実態を、トランプ大統領は経済界の出身者だけに、熟知しているのかも知れない。だがその熟知は不動産屋の発想でありであり、ばくち打ちの知識であろう。まさにギャング的な発想なのだ。

 だから、金のあるアラブ湾岸諸国などからは、武器を売りつけては脅し奪い、弱い国は叩きのめす、というやり方を進めているのであろう。そのためには、いわれのない難癖をつけて、悪者国家(イラン)を作り、そこがお前の国を攻撃してくる、と言っているのだ。

 そのことに反発すれば、体制を打倒すると脅すのであろう。サウジアラビアのムハンマド・ビン・スルタン皇太子は、完全に脅しまくられ、アメリカの言いなりになっているような気がするが、最終的には彼はアメリカによって、葬り去られるのではないかと心配だ。

 今度は、トランプ大統領がシリアからの撤退を、希望すると言い出している。しかし、それには条件があり、サウジアラビアが撤退を望まないのであれば、軍資金を出せと言っている。サウジアラビアが軍資金を出すのであれば、アメリカ軍のシリアからの早急な撤退は無い、ということであろう。

 トランプ大統領のシリア撤退発言には、アメリカの軍部や政治専門家の間には、異論があるようだ。確かにいまの段階では撤退時期は、明らかにされていない。何時それが実現するかわ分からないが、関係各国は対応に、苦慮しているものと思われる。

 アメリかがシリアに駐留し続けることは、不愉快極まりないのだが、何の準備も無いままに、関係諸国間の合意も生まれないままに、出ていかれては、その後の混乱が予想される。IS(ISIL)は再度活発な動きを見せよう。

シリア軍、クルド・ミリシア、スンニー派ミリシア、トルコの作ったFSAやアメリカが作ったSDFが、しのぎを削る争いになり、シリアは再度地獄絵図に、戻るということだ。その影響は周辺諸国にも及ぼう。

だが、考えてみると今回のトランプ発言は、あくまでも彼の金儲けにつながる、発言ではないのか。そもそもアメリカがIS(ISIL)を創り、シリアとイラクとで戦わせたのは、ペルシャ湾の海底ガスを両国を通して、地中海に運ぶことが目的だった。そしていま、アメリカ軍がマンビジュにとどまっているのは、その近くに石油やガスがあるからなのだ。

アメリカはその駐留費用を、サウジアラビアを始めとする、アラブ湾岸諸国に負担させるために、脅しの材料として撤退を、言い出しているのであろう。問題がほぼ片付いたいまでは、アメリカ軍の駐留は容易で、より安全なものになっていよう。