どうもきな臭い雰囲気が、シリア北部で拡大してきている。以前から報告してきているように、トルコはアフリン陥落の後、マンビジュに進攻すると言ってきた。そして、アメリカに対し、武力衝突を起こさないために、マンビジュから撤退するよう、勧告してきてもいた。
しかし、アメリカは何としてもマンビジュに留まる気のようだ。それはこのマンビジュの近くに、石油資源があるからであろう。結果的に、アメリカとトルコとの関係は、日に日に緊張を高めてきていた。
そうしたなかで、トランプ大統領は『シリアから撤退する。』と宣言した。これについては、アメリカの国務省もペンタゴンも、賛成していない。あくまでも、トランプ大統領個人の考えであり、実施されるか否かは分からない、としている。
問題はアメリカ軍がマンビジュから撤退すれば、その後、マンビジュはSDFやPKKが支配することになろう、ということだ。述べるまでもなく、SDFは実体がクルド・ミリシアであり、PKKはトルコ国内に拠点を置く、反トルコのクルド勢力だ。
彼らがマンビジュを抑えれば、トルコにとっては厄介なことになるのが、明らかであろう。こうした状況の変化のなかで、アメリカとトルコとの関係は、緊張の度を高めているわけだが、最近になってアメリカは、シリアに2000人の兵を派遣しており、建設機器や軍用車両も増やしている、ということだ。
つまり、アメリカはマンビジュの防御を固め、万一の場合のトルコ軍との戦闘に、備える方針に作戦を変更してきているということだ。このアメリカの動きをトルコ側は、傍観してはいないだろう。
トルコはアフリンの攻略の後、テル・ラファトに進攻すると言った時点で、トルコはアメリカとの武力衝突を、避ける気だと判断したのだが、アメリカは武力衝突もいとわない、ということのようだ。
これはトランプ大統領の、恫喝方式なのであろうか。アメリカがトルコと武力衝突すれば、航空機や地中海に浮かぶ、艦船からのミサイル攻撃は出来ようが、必ずしも有利とは思えない。やはり最終的には地上軍の力が、ものを言うのではないか。
今回のアメリカとトルコとの軍事緊張は、トランプの恫喝外交の化けの皮を、剥がすことになるかもしれない。北朝鮮対応でもアメリカは恫喝しまくった挙句、和平対話路線に切り替える方針のようだ。
もし、トルコに対するアメリカの恫喝外交