トルコの宗教指導者フェトッラー・ギュレン氏の提唱で、幾つもの学校がトルコ国内に作られ、質のいい教育をしてきた。その結果、ギュレン学校からトルコの一流大学に、入学する生徒は多数おり、多くのエリート官僚がこの学校から輩出されている。そして、その学校は中央アジアでも設立され、各国の教育向上に貢献してきた。
学校の資金は、ギュレン・グループのメンバーの、寄付によるものだったが、学校の運営がうまく行くと、それが利益を生み出すようになり、学校はその利益でどんどん増加されていった。その学校は英語や理科系に力を入れているため、極めて効率的な教育になっている。
現在では、ギュレン・グループの運営する学校は、東西ヨーロッパ諸国、アフリカ、アラブ、アジア諸国、アメリカにもあるのだ。アメリカでは既に、150を超える学校が運営されており、アメリカ政府が生徒一人に対し、一定額の援助をすることから、運営は極めて好調だ。
しかし、7・15クーデター未遂事件の後から、ギュレン・グループに対するトルコ政府の弾圧が強まり、トルコ国内はもとより、外国で運営されている学校にも、その害が及んでいる。マレーシアではマレーシアの秘密警察が、学校の教員を捕まえトルコに送還する、という出来事が起こっている。
今度はコソボでそれが起こり、6人の教員が捕まっている。逮捕はトルコの秘密警察と、コソボの秘密警察によるのだが、彼らをトルコに連れ出そうとした段階で、国際的な圧力がかかった。
コソボの首相は自分の知らないところで起こったとして、警察幹部の更迭を言い出している。いま、コソボのプリスチナ空港では6人が拘束され、今にもトルコに連れ戻されようとしているが、国際的な圧力があり、そうスムーズには進んでいないようだ。
彼ら6人の教員は、トルイコに連れ戻されれば、確実に刑務所に投獄され、拷問を受け、虐待され、病気になっても治療を受けられず、死に至る危険性もあるのだ。その事をコソボ側は知っており、数カ月前に捕まえた学校の代表者である、ウギュール・トクソイ氏を未だに送還していない。
エルドアン大統領は今回のギュレン・グループ・メンバーの拉致を喜び、『何処の国からでも、拉致し連れ戻す。』と息巻いている。彼は他国で勝手なことをすることが、許されていると思っているのであろう。プリスチナ空港には既に、トルコの特別機が到着しており、何時でも6人を連れかえれる戻せる体制になっているが、プリスチナ空港では生徒たちや親たち、人道支援団体などが、送還反対のデモに駆けつけている。
ここまで問題が明るみに出て、国際的な関心問題になると、コソボ政府は6人をトルコに連れ帰らせるのは、難しいのではないか。もちろん、そのために送還が遅れていることで、エルドアン大統領はコソボ政府に、高圧的な対応をしている。
これではますますエルドアン大統領の、国際的評価は下がっていこう。その事を彼は全く気にしていないようだが。何せ彼は自身をネオ・オスマン皇帝だ、と思い込んでいるのだから。