『マクロン仏大統領は対トルコで何を考えているのか』

2018年3月31日

 

 フランスのマクロン大統領は、何を考えているのであろうか。強硬な対外政策を展開している、トルコのエルドアン大統領に挑戦状を、送りつけたと思われても、仕方のない発言をしている。

 マクロン大統領はシリア北部のマンビジュに集結している、SDFとクルド・ミリシアを支援する、と言い出しているのだ。それは真っ向からトルコと対立する、危険な発言であろう。

 トルコはアメリカを説得して、マンビジュからアメリカ軍を撤収させよう、と努力しており、アメリカが支援するSDFに対しては、徹底的に力で対応する考えなのだ。アメリカは自国の利益が絡んでいることから、マンビジュからの撤収はそう簡単には、受け入れられない。それはマンビジュのそばには、シリア有数の石油地帯が、あるからだ。

 そうしたなかで、トルコはアメリカ軍との武力衝突を避けるために、アメリカと我慢強い交渉を続けている。アメリカ側も各項目別に、担当グループを作り、トルコと交渉し続けている。そうしたデリケートな状況を、マクロン大統領はどれだけ、認識しているのであろうか。

 マクロン大統領はSDFなどのクルド・ミリシアとパリで交渉をし、軍事支援もするつもりだということを、言い出しているのだ。もちろんその前に、マクロン大統領は「トルコとSDFが話し合うことによって、解決策を見出すことを望む。」とも語ってはいるのだが、その言葉の後に軍事支援が出てきたのでは、何の意味も無くなってしまおう。

 フランスは明確にマンビジュのSDFを、軍事的に支援すると言っているのだ。このマクロン大統領の発言は、多分、アメリカの意向に沿っているものと思われる。つい最近、アメリカのトランプ大統領は『非常に近い将来、アメリカ軍はシリアから撤収する。」と発表しているからだ。

 しかし、アメリカ軍のマンビジュからの撤収は、そう簡単ではあるまい。関係各国の軍事行動を抑えるためには、アメリカに代わる国の進出が、必要であろう。トランプ大統領は『アメリカが撤収した後は、他の国がその穴埋めをするべきだ。』とも発言している。

 フランスは歴史的にシリアを支配していたことから、他のヨーロッパ諸国よりもシリアに関しては、責任があるということであろうか。もちろん、その責任をアメリカに代わって果たせば、応分の見返りが期待出来る、ということでもあろう。

 ただ今度の場合は、トルコが主要の相手であり、そう簡単ではあるまい。トルコのエルドアン大統領は既に、『フランスが余計なことをしてくるのであれば、容赦なくフランス軍に攻撃を加える。』と語っている。

 加えて、エルドアン大統領は『フランスがテロを支援すれば、その付けを払わせられることになる危険を、分かっていない。』とも語っている。それは場合によっては、トルコがフランス国内で破壊工作をやることもありうる、ということではないのか。

 そうなれば、フランス旅行は危険がいっぱい、ということになろう。ショッピングなどは格好のテロのターゲットになるのではないか。