ここに来て、トルコ・リラが下げ続けているが、ついに3月28日、史上最安値の1ドル4,964リラを付けた。困っているのは輸入業者であろうが、トルコ・リラが下がれば輸入物資は値上がりし、同時に国内産品も上がる、ということになるのは必定。
そして一番トルコにこたえるのは、石油ガスの輸入価格がトルコ・リラに対して上がることだ。それはトルコ国内の輸送費、電力費も押し上げることになるから、トルコ経済の全体に相当な影響が出よう。
トルコ政府はこの緊急事態にあって、石油ガスの輸入は問題ない、イラクのクルド地区から再度、送られるようになった、と国民に説明しているが、問題はなくはなかろう。ジワジワと確実に効いてくることになり、トルコ国民もエルドアン大統領のたわごとに、付き合っていては飯が食えない状況に、やがては追い込まれよう。
ではなぜこの時期に、トルコ・リラが値下がりしているのかと言えば、シリアへの軍事介入が、大きいのではないかと思われる。軍事費は何も生まず出ていくだけだ。そしてたとえ勝利しても、トルコは国際世界の目もあり、シリア北部を領有することはできまい。
しかも、トルコはロシアのS400ミサイル輸入と、バランスをとるためであろうか、アメリカの長距離ミサイルも、購入すると言い出している、その輸入代金はどれほどに膨らむのかわからない。そして、エルドアン大統領ご自慢の、メガ・プロジェクトの架橋が、また始められる予定だ。
シリアのマンビジュに関して、トルコはアメリカと対立しており、相当険悪な関係になっている。トルコのインジルリク空軍基地から、アメリカ軍は撤収するという情報も流れている。もちろん、トルコ政府はその事実はない、嘘の報道だと言っているが、ニュースの出どころはアメリカに最も近い、イスラエルなのだから信頼性は高いのではないか。
考え過ぎかもしれないが、中東に大国を存在させたくない、と考えているアメリカが、そろそろトルコを弱体化させる気に、なってきたのかも知れない。それはトルコ国民の大半が、支持する動きであろう。