3月26日から28日にかけて、エジプトでは大統領選挙が行われる。その結果は出る前から分かっており、シーシ大統領の勝利、ということになるのは確実だ。しかし、シーシ大統領には不安があるようだ。
第一には、どれほどの支持票を集めることができるか、ということだ。これまでは90パーセント台の得票数を、歴代の大統領は自慢していた。例えば、ムバーラク元大統領もそうであったし、その前のサダト元大統領ナセル元大統領も、しかりであった。
いまのシーシ大統領にもそれは可能であろう、投票結果などごまかすのは、大統領の権限では簡単だからだ。しかし、いまの時代は以前とは異なり、そうした得票数の政府による操作は、たちまち巷に伝わってしまおう。
従って、シーシ大統領はよほど神経を使って、得票数の操作は最小限に、留めなければならない、ということだ。既に、不正選挙が見込まれ、世界中から選挙監視団が、エジプトに向かっていることであろう。やりようによっては、大恥をかくということだ。
第二の問題点は、投票所でテロが起こらないか、という心配であろう。IS(ISIL)もムスリム同胞団も、他のイスラム過激派集団も、投票所でテロが起こるという噂をばらまいて、国民が投票に行くのを躊躇する状態を、作ろうとしていると思われる。
国民は選挙の投票に行って、テロに会い死にたくはあるまいから、相当投票参加にはブレーキがかかる、懸念があろう。だからこそ、シーシ大統領はテロの抑え込みに、これまで力を入れてきていたのだ。
つい最近、アレキサンドリアで起こったテロは、選挙前のデリケートな時期を、狙ったものだったのだ。そのテロが選挙妨害であることは、エジプト国民の誰もが分かっていることだ。
シナイ半島北部の部族抱き込み工作も、シナイ半島北部に潜伏する、テロリストたちと部族との協力関係を、断ち切る目的できであった。 さて、選挙への参加はどのような数字になるのであろうか。そのことはシーシ大統領にとっては、彼の大統領支持票よりも、重要かもしれない。
投票所にどれだけ国民が集まったかは、一目瞭然であり、ごまかしようがないからだ。投票所がシーシ大統領の期待に反して、閑散としていれば、そのことはシーシ大統領がテロに敗北した、ということになるからだ。
ロシアではプーチン大統領が選挙で、75パーセントの得票数で再選された。これを見てエルドアン大統領も、次の選挙では75パーセントを目標とする、と言い出している。以前の彼の得票数は50パーセント程度であったのだから、相当無理な工作が行われるものと思われる。