『トルコの状況は悪化の一途』

2018年3月24日

 

 トルコ軍はFSA(トルコが創った自由シリア軍』と協力して、シリアのアフリンを落とすことに成功したようだ。しかし、喜んでばかりはいられないようだ。第一には、アフリンを離れていた住民が、アフリンに戻ってくるわけだが、彼らに対するケアが必要になるからだ。食糧を始め、医療、住宅、教育と大変な金が、かかることになろう。

 第2には、アフリンのなかには未だに反トルコの、クルドミリシアがいるとうことだ。彼らは一般市民の顔をしていて、突然銃を放ち、爆弾を投げるだろう。つまり、クルド・ミリシアは敗北したのではなく、作戦を変更したとみる必要があるのではないか。

 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙はその事を指摘している。そして・第三には、エルドアン大統領がアフリンでの大勝利を喜び、マンビジュにもイドリブにも進攻すると宣言したことだ。

なかでも、マンビジュへの進攻はアメリカとの関係を、難しいものにしていく可能性が、高いということであろう。つい最近、トルコの外相はマンビジュについて、トルコとアメリカとの間には合意が、出来ていないと言っている。アメリカはマンビジュからは撤退しないと言っているが、トルコがマンビジュに進攻すれば、アメリカ軍との衝突が充分に、想定されるのだ。

 ヨーロッパとの関係でも、地中海の海底ガス開発について、トルコは掘削機を入れ始めているようだが、ヨーロッパ諸国はこれに反対している。第一次世界大戦後にヨーロッパとトルコが交わした、ローザンヌ秘密合意に反するからであろう。

 しかし、それだからといって、トルコが何もしないでいれば、ギリシャやキプロスがどんどんいい鉱区を、掘り当てる可能性があり、トルコとしては放置できないということであろう。エジプトも東地中海の海底ガス開発に乗り出しているし、イスラエルも然りなのだ。

 加えてトルコでは、トルコ・リラの最安値が更新され、遂に1ドルに対して4トルコ・リラのレベルまで下がっている。これはトルコのビジネスマンに、相当なショックを与えているのではないのか。政府支持のマスコミですら、このことを大々的に報じている。

 エルドアン大統領がメガ・プロジェクトメガ・プロジェクトと大騒ぎしている幾つかのプロジェクトは、確かにメガ・サイズなのだが、その資金の相当部分は、外国からの借入金だ。トルコ人に言わせればこうだ。『トルコ政府は外国から金を借りて、メガ・プロジェクトを進めているが、橋などの場合は通過車両の数を、サバを読んで外国の企業に伝え、もし通過量が少ない場合には、その差を政府が補填する、ということになっているんだ。つまり、メガ・プロジェクトで完成した橋は皆通過量が少ないので、橋が出来る度にトルコ国民は税金で補填をする。つまり国民はメガ・プロジェクトでどんどん追い込まれているんだよ。』ということのようだ。

 メガ・プロジェクトは結果的にトルコの財産をどんどん外国に売り出しているようなものであろう。それは歴史的な建物や遺跡、土地なども含まれることになっていこう。現実にトルコでは、外国人の不動産買いが進んでいる。好立地な場所の高級住宅が、売れているのだ。