トルコはマスコミがエルドアン大統領の、意向にそぐわない報道をすると、たちまちにして、圧力を受ける状態にある。会社は政府が没収し、エルドアン支持者に売られ、ジャーナリストは逮捕され、投獄されるという状態が、続いている。
こうしたことから、ほとんどのマスコミ社は、エルドアン支持者の手に渡るか、報道姿勢をエルドアン体制寄りに、変更している。現在トルコで投獄されているジャーナリストの数は、400人を上回っている、ということのようだ。
そうしたなかで、何とか生き延びてきていたドアン・グループが、今回エルドアン大統領と親しい関係にある、デミリョレン社に売り渡されることになった。ドアン・グループはこれまで、ミッリイェト、ワタン・デイリー、カナル・D,ドリーム・テレビ、フリエト、その他多数あり、トルコのテレビと新聞と雑誌などを、カバーしていた。
そのいわばマスメデア王が、何故デミリョレン社に、売り渡すことになったのかは、疑問の沸くところだ。ドアン社のテレビ番組が、エルドアン大統領に対する批判を、報じたことに原因があり、そのことから、同社は政府から圧力を、受け始めていたようだ。
もし、エルドアン批判報道問題が昂じれば、同社は政府に没収され、第三者に売り渡される、危険があったのだ。そうなればその会社は第三者に売られ、ドアン社は将来、エルドアン体制が打倒されたとしても、ただでは返してもらえなくなる、ということだ。
そうしたなかでトルコの南東部のキルス市に、クルドのYPGがロケット弾をシリア側から、撃ち込むということが起こっている。そのロケット弾はアメリカ製であり、現在トルコの軍部がシリアル・ナンバーなどの確認を急いでいる模様だ。
これまでにYPGによってトルコ領内に撃ち込まれた、ミサイルやロケット弾の数は94発、死者は7人、負傷者は113人、というのだからトルコ政府としては、この事態を放置できまい。
そこまでトルコ・アメリカ関係は、悪化しているということであり、その状況を察知したマスコミ各社は、次第にエルドアン体制非難を、拡大していくであろうと思われる。ドアン社の件は、その先駆けだったのではないのか。
そうなれば、今後はますますトルコ政府による、マスコミ規制が厳しいものになって行こう。それは、エルドアン体制の弱体化、国民のエルドアン大統領への反発の拡大、という悪循環を起こしていくことに、なって行くのではないのか。