『イブン・キャルブ(犬の子)とアッバースが言ったこと』

2018年3月21日

 

 パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長が、アメリカ大使を捕まえて、イブン・キャルブと言ったことが、問題になっている。イブン・キャルブとは犬の子といった意味だが、もちろん相手を蔑む悪口だ。

 しかし、面と向かって言ったのならともかくも、このイブン・キャルブという悪口は、アラブ人の間では軽い意味で、よく使われる悪口なのだ。友人がちょっとずるをしたりした場合に、このクソッタレといった悪口に近い軽い悪口で、非難することが多々あるのだ。

 マハムード・アッバース議長がどのような状況で、この悪口を口にしたかによろう。もし仲間内での話で出てきたのなら、あま罪は無いものと思われる。その事が問題になっているのは、アラブ人の日常の会話を知らない人達の下した、非難であろうと思われる。

 イブン・キャルブは友人同士の軽い非難や、中傷の場面で使われるし、喧嘩で出てくる場合もあるのだ。それ以上の悪口も幾らでもあるのが、アラブ世界だ。何せアラブ社会は言葉の文化であり、賞賛の言葉も多いが、悪口も数え切れないほど、ある世界なのだ。

 もっと汚い悪口はクッス・ウンム、ズッビ・エーラクなどというのもあるが、とても日本語には訳せないほどの意味だ。若い頃はそうした悪口を言い合って、げらげら笑っていたものだ。

 もしこうした悪口が、公の場で出た場合は、意味合いが異なろうから、外交問題に発展しても、仕方があるまい。いずれにしろ、マハムード・アッバース議長と取り巻きたちの、品性が疑われる言葉であろう。

 パレスチナ人の発する悪口は、アラブの中でも一級品であろう。彼らはアラブから受ける差別や、イスラエルから受ける弾圧のなかで、悪口を言うことぐらいしか、ウサ晴らしのしようや、抵抗のしようが無かったのだ。

 日本人は今回のマハムード・アッバース議長の悪口を大目に見てやろうではないか。同時に彼に対して『子供ではないのだから、発言は上品にしろ。』と言ってやろう。