『トルコ非難がヨーロッパ・アラブから』

2018年3月20日

 

 トルコに対する非難の声が、ヨーロッパ各国と、アラブ各国から起こっている。例えば、ベルギーの政治家はムスリムが社会の緊張を煽っている、と言っているが、これは間違いなくトルコ人の存在を、言っているのだ。そのトルコ人の後ろには、エルドアン大統領が控えている、ということであろう。

 デンマークではトルコ大使館に対して、モロトフ攻撃が起こっている。その現場の写真が、インターネット上で公開されていたが、トルコ大使館ビルは無残にも、焼け焦げていた。スエーデンからもノルウエーからも。オランダからも反トルコの声が、沸き起こっている。

 アラブではシリアがトルコ軍との間で、戦闘状態になっているが、シリア政府はこのため、トルコ軍のシリア侵攻を非難し、即刻出て行けと叫んでいる。また。アラブ首長国連邦特使がイスラエル・トルコ・イランは、危険国家だと語っている。

 そしてアラブの大国エジプトもトルコに対して、シリアへの軍事侵攻と支配は、国際法違反であるから、即時撤退するよう、要求している。これらの一連の反トルコの動きはやはりシリアに対するトルコの軍事侵攻に、起因しているのではないのか。

 シリアが何の正当性もなく、トルコ軍によって国土を蹂躙され、支配下に置かれていることは、どこの国からみても、おかなしな話であろう。しかも、そのトルコはアフリン支配だけではなく、次はマンビジュに侵攻し、支配下に置くと語り、それはテロの掃討が目的であり、領土的野心からではない、と開き直っている。

こうしたトルコに対する各国からの非難は、その通りであろうし、その裏にはアメリカとトルコとの立場の相違が、顕著になってきていることもあろう。トルコはアメリカとの間で、マンビジュ問題で合意したと報じているが、それは事実ではなかろう。

 こうした流れのなかで、ヨーロッパに在住するトルコ人の間には、不安が高まっている。つい最近も、ヨーロッパの幾つかの国で、モスクが放火され攻撃を受ける、ということが起こっている。トルコ人ムスリムに対する攻撃も、起こっているのだ。

 半面、ヨーロッパはトルコの反政府組織PKKなどの ヨーロッパでの反トルコ活動を放置しているし、トルコ政府が要請したサーレハ・ムスリム(クルドPKKの幹部)の引き渡しを拒否してもいる。

 つまり、ヨーロッパ各国もアメリカも、アラブの国々もこぞって反トルコの立場に、変わってきている、ということであろう。こうした反トルコ感情の拡大は、やはりエルドアン大統領という人物の、強烈なキャラクターが原因であろう。

 その付けを払わせられるのは、トルコ国内外に在住する、もの言わぬトルコ庶民ということであろう。今後この動きは、ますます強まっていくのではないか。ヨーロッパの経済の悪化も、反トルコというスケープ・ゴートを必要としている、ということであろう。