『陰謀はアラブの専売特許か』

2018年3月 8日

 

 カタールの王家に関わる人物が、とんでもないことを発言した。これはアルアラビーヤ・テレビとのインタビューで語ったもので、カタールの前国王が彼の父王を殺害したと言うのだ。

 殺害方法は毒殺だったとまで言い切っている。加えて、カタール前国王はリビアのカダフィ大佐の殺害にも、関与しているというのだ。

 カダフィ大佐殺害については、フランスのサルコジ元統領がカダフィ大佐から、選挙資金を借りていたため、内乱のどさくさの中で彼を殺害するよう、指示した結果だ、というのが事情通の間の、共通認識なのだが。

 加えてこの人物は、実はスルタン・ビン・サヒームという反政府派の人物なのだが、サウジアラビアのアブドッラ-・ビン・アブドルアジーズ国王の暗殺にも カタールの前国王が関係していた、と語っている。

 このスルタン・ビン・サヒーム氏は、現在カタールでは400人が、国外禁止命令下にある、とも語った。

 常識的に考えて、このスルタン・ビン・サヒーム氏の発言内容は、どうかと思える節が多い。前カタール国王が自分の父王を暗殺する、ということは物理的に可能であったろうが、カダフィ大佐を暗殺する理由はどこにあったのか、またその手段が何であったのか、どの国の要請によるものであったのかが不明だ。

同じように、サウジアラビアのアブドッラー・ビン・アブドルアジーズ国王の、暗殺についてもしかりだ。ただこのスルタン・ビン・サヒーム氏の発言は、今後湾岸地域に限って言えば、信ぴょう性を持って受け止められよう。

 それは、現在サウジアラビアとアラブ首長国連邦、そしてバハレーンが一体となって、カタールと敵対関係にあるからだ。情報はしかるべき目的をもって作り上げられ、偽情報でも繰り返すことによって、真実に変わっていくものだ。

 情報とは鉛から黄金を作り出す、錬金術のようなものであろう。しかし、錬金術師は仕事が終われば、それが本物の金ではないことがばれないように、殺されるのが決まりでもある。スルタン・ビン・サヒーム氏の将来は、何か見えているような気がするのだが。