『エルドアン大統領苦しい時の神頼み』

2018年3月 7日

*少し古い話しになるが、去る2月13日トルコの首都アンカラの会議場で、エルドアン大統領は与党AKPの議員たちを前にして、演説している。そのなかで彼が語ったことは、日本風に言えば『苦しい時の神頼み』という感じの内容だ。*

*彼はトルコが進めている、シリアのアフリンに対する軍事行動に対して、アメリカやヨーロッパ諸国が反対していることに、腹を立てているのであろう。これに対して黙っていては、喧嘩口調に長けたエルドアン大統領としては、トルコ国民の前で立場が無くなる、ということであろう。*

*彼は『欧米には進んだテクノロジーがあるだろうが、我々には強い信仰心がある。』従って彼らに最終的には勝利できる、ということであろう。彼は続けて『欧米には戦車やロケットがあろう、彼らは宇宙に飛び立つことも出来よう。しかし、我々には神への強い信仰がある。』と語っている。*

 エルドアン大統領は『PKKやYPGなどクルドのミリシアが、シリアとトルコの国境地帯に、回廊を作っているが、それはトルコへの軍事侵攻を、計画していることを、意味している。』とも語っている。

 エルドアン大統領はトルコが、何百万人(公式には、トルコに居住するシリア難民の数は350万人、非公式には500万人といわれている)ものシリア難民を受け入れ、人道的な対応をしているが、ヨーロッパ諸国は彼らに門を閉じている、とヨーロッパ諸国を非難してもいる。それは確かに彼の言う通りであり、ヨーロッパ諸国はシリア難民問題を、トルコに押し付けていることは事実だ。

 シリアのアフリンでの戦争で、エルドアン大統領は当初、2週間程度で勝利を収め、その次はマンビジュだ、と豪語していたが、なかなかそうはならないようだ。トルコ政府はアメリカに対して、SDFやYPGなどの与えた武器を、回収してくれるよう要望しているが、それも思うようには進むまい。

 アメリカはYPGやSDFといった、クルド・ミリシアと連携して、アメリカのシリアでの目的を、果たそうと考えているからだ。アメリカ政府の一部の高官から、武器の回収について実行する、という言葉も返ってきているが、これまでも同じ内容の発言が、アメリカの政府高官から出たにもかかわらず、何も進展していないのだ。

 トルコのエルドアン大統領は、アフリン作戦に対する、世界のトルコへの非難が増していくなかで、まさに『アッラーだけが味方してくれる。』という心境なのであろう。そして、トルコの一般庶民はそのエルドアン大統領の、神頼みの言葉に、賛同するのであろう。無知な大衆のレベルでは、宗教の怖さは冷静な状況判断を、させなくなるということだ。