トルコがシリアのアフリン作戦で、窮地に立ちそうな状況が、発生してきている。それは、1月19日にトルコ軍が、シリアのアフリンに向かって、戦闘を開始して以来、初めての状況なのだ。
トルコ軍による傍若無人ともいえる、アフリン攻撃を受け、シリアのクルド組織(SDFであろうか)がシリア政府と交渉して、シリアをトルコ攻撃から守ろう、と言い出したのだ。クルド側が語るところによれば、シリア政府との合意は成立しており、2~3日以内に、シリア軍がアフリンの戦列に、加わるということだ。
このクルド側の申し入れに対して、シリア政府は前向きに受け止め、アフリンに派兵する方針のようだ。そうなると、トルコ軍はアフリンでの作戦で、これまでとは異なり、クルド・ミリシアだけではなく、シリア軍とも戦わなければならなくなる、ということだ。
しかも、現在のシリア軍は以前とは異なり、ロシアから新兵器の供与を受け、相当に強化されている、先日もイスラエル軍機が、シリア軍によってミサイル攻撃を受け、撃墜されているのだ。
トルコはアフリン作戦に、陸軍だけではなく、空軍も投入する方針であろうが、その場合にはトルコの空軍機の損失が、目立つことになるのではないか。勿論、戦闘機だけではなく、巨額の訓練費をかけて訓練したパイロットも、犠牲になるということであり、トルコ政府にとってはそう簡単に、動き出せないということになるのではないのか。
そもそも、トルコ軍のシリアのアフリンへの攻撃は、同盟国であるはずの、アメリカも反対している。表面的にはトルコとアメリカとの間では、アフリンに続く戦闘予定地のマンビジュに関しての対立であり、マンビジュにはアメリカ軍が駐留しており、トルコ軍が入ればアメリカ軍にも、被害が出るということだ。
このため、アメリカ政府はトルコ政府に対して、マンビジュ作戦は実行するな、と言っているが、トルコ側は攻撃をかけるので、アメリカ軍は出来るだけ早く、マンビジュから去れと警告している。そのマンビジュ作戦の前哨戦が、まさにアフリン作戦なのだ。
このところ、アメリカとトルコとの関係は、日増しに悪化しているが、アフリンでの作戦で、トルコ軍は手痛い敗北を、喫するかもしれない。エルドアン大統領が高らかに宣言しているような、ネオ・オスマン帝国軍の進撃は、挫折するかもしれない。