ロシアのラブロフ外相は、アメリカがシリアの東部に、新国家を設立する構想を、持っていることを非難した。彼の説によれば、アメリカはユーフラテス川の東岸に、大きなエリアを支配し、そこに独立した国家を建設する、ということだ。
その国家はクアシ国家と命名される模様だ。名前からして多分、クルドの国家ということであろう。アメリカはこうすることによって、シリア領土内に長期で、軍を駐留させることができるということだ。
アメリカは設立された、クルドのクアシ国家の建設協力し、かつまた防衛を支援する、ということであろう。このアメリカの理屈が国際的に承認されるか否かは、今後の世界情勢に大きな影響を及ぼそう。
アメリカは何の正当性もなく、シリアに軍を派兵し、そこを占領し、空爆を繰り返し多、多数のシリア国民を殺戮してきている。加えて化学兵器を使用すれば、それはシリア政府によるのだ、としてきている。
シリアではアメリカとロシアとの利害が、完全に対立しており、ロシアはシリア政府を支援し、アメリカは反体制派の傀儡集団SDFを創設することでこれを支援し、また、IS(ISIL)掃討作戦を行っている、と主張してきている。
しかし、それがでたらめだということは、多くの識者の知るところとなっている。アメリカはIS(ISIL)掃討作戦を、実行しているのではなく、IS(ISIL)を支援し続けてきているのだ。
IS(ISIL)が武器その他の必要物資を必要とすれば、アメリカは空輸しているし供給し続けてきていた。IS(ISIL)の幹部が危険になれば、アメリカ軍のヘリが彼らの救出作戦を、実行してきているのだ。
アメリカのこうした国際法破りの、傲慢な作戦に対して、ロシアは抵抗し非難を繰り返しているが。アメリが世界のマスコミを支配していること、世界の経済を牛耳っていることから、思わしい成果は出ていない。
最大の人口を抱えるクルド人は、国家を持つことがかなわずに、今日至っている。そしてイラク、シリア、イラン、トルコなどから弾圧され、山間部に追い込まれ続けてきた、という悲劇物語が、アメリカの行動を正当化してしまうのか。クルドの悲劇について、同情しないわけではないが、アメリカ流の考えで、もし、クルドの国家が出来れば、その国家は周辺諸国との終わりのない戦争を続けることになろう。
アメリカのクルドに対する同情と、支援という美名の裏には、シリア東部の石油資源の、アメリカによる確保があるのだ。いまのアメリカは昔のような、足長おじさんではないのだ。