『サウジアラビア・アバーヤ着用義務でない』

2018年2月11日

 

 サウジアラビアの皇太子に、ムハンマド・ビン・サルマン氏が就任して以来,サウジアラビアではモダン・イスラムが進んでいるようだ。例えば、女性が車を運転することが許可されたし、男性だけに許可されていたサッカー競技場に、女性が入り観戦することも、許可された。

 この二つが許可されたことで、サウジアラビアの女性たちは、相当フラストレーションから、解放されたものと思われる。彼女たちには、屋外での行動の自由が、大幅に緩められたということだ。

 続いて、サウジアラビアでは宗教者会議のメンバーが『女性にアバーヤ着用の必要は無い。』と言い出したのだ。アバーヤとは服の上に着用する、ローブのようなもので、頭のてっぺんから足のつま先まで、すっぽり包む外套だ。

 黒いアバーヤをまとった女性は、神秘的というよりも、女奴隷か、魔女、あるいは時代遅れ、を連想させるものであった。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はそのイメージを、取り去りたいということで、今回のファトワ(宗教裁定)を、出させたものと思われる。

 このファトワを出した宗教者は、『イスラム世界の90パーセント以上で、アバーヤの着用を義務付けていなので、サウジアラビアもそれに合わせる。』ということのようだ。このファトワはテレビ放送で伝えられたが、彼は『アバーヤの着用を義務付けるべきではない。』と明確に語っている。

 最近では、このアバーヤは黒一色だったものが、カラフルなものに変わってきてもいた。黒一色ではなく、ライト・ブルーやピンクのアバーヤを着用する女性が、出始めているのだ。また、アバーヤの下にはロング・スカートを着用する者や、ジーンズをはく者も出てきているそうだ。

 これに対して不満を抱いているのは、宗教警察(礼拝の履行や、服装の乱れを正したり、屋外での男女の行動の乱れを、監督し指導する警察)であろうが、彼らもムハンマド・ビン・サルマン皇大使の意向ということであれば、手を出せまい。

 後は女性の海外旅行や留学が、許可されるかということだが,この場合は政府の決定だけではなく、家族の男性の同意が必要になろう。それにはまだ少し時間が、かかるのではないか。