『エジプト軍が対テロ大作戦開始』

2018年2月10日

 

 エジプト政府はテロ対策に、本格的に乗り出したようだ。エジプトにとって観光収入は目玉であり、その観光はエジプト国内の治安が、いいことが条件になる。その治安を脅かすものは、テロだったわけだが、国際世論を意識してか、もう一つ気合の入らない対応をしてきたように、受け止めていた。

 しかし、ここに来てエジプト政府は、本格的な対テロ戦争を、始めることを決断したようだ。それはペンスのカイロ訪問で、アメリカとの合意が、成立したからであろう。アメリカ政府とエジプト政府との間では、テロ撲滅の相互協力と合意が、成立したからだ。

 今回のエジプト政府の対応とは、陸海空三軍を集め、シナイ半島の北部、IS(ISIL)などテロリスト巣窟を、徹底的に攻撃することを決めたことだ。加えて、シナイ半島の各部族がIS(ISIL)の攻撃を受け、激怒したことにより統一され、対IS(ISIL)戦闘を展開することを決めている。

 このシナイ半島の部族が政府と協力することは、対テロ戦争において大きな意味を成している、部族はシナイ半島各地に居住しており、彼らが入手できる情報量が多いからだ。その部族の情報を集め、分析し、エジプト軍はテロ戦争を、展開していくということであろう。

 エジプト軍はシナイ北部だけではなく、シナイ中部そしてナイル・デルタ地帯など、広範に渡ってテロ戦争を展開する、と発表している。軍だけではなく、治安警察も本格的な取締りを、アフリカ本土の各都市で、展開し始めてもいる。まさに非常事態という状況だ。

 シナイ半島の学校は今回のテロ戦争の開始に向け、休校になっている。それは子供たちを戦闘の犠牲にはしたくない、という配慮からであろう。大学を含めた高等教育機関も、同様の休校の決定を下している。

 アフリカ側のエジプト本土の各都市マヌーフィア、ベヘイラ、シャルキーヤ、アシュート、ファイユームでは,警察部隊によって、既に次々と多くのテロリストが、逮捕されている。

 この緊急事態にあってエジプトのコプト・キリスト教の教皇も政府のテロ対策を、全面的に支持することを宣言している。

それはそうであろう、IS(ISIL)などテロリスト側はエジプトのコプト・キリスト教徒と、ムスリムの対立を煽ることで、イスラム過激派を増やし、スカウトしようとして、来ていたからだ。そのため、これまでに多くのコプト・キリスト教徒が、犠牲になっているし、教会に対するテロ、も起こっているのだ。

イスラム側もコプト・キリスト教組織と同じように、今回の作戦を全面的に支持しており、アズハル大学は全面的な支持をする、と発表している。このことは大きな意味を持っている。アズハル大学はイスラム学の総本山であり、そこがテロ作戦を支持したということは、テロリスト側にイスラム的正当性が無い、ということになるからだ。

さて、このテロ掃討作戦は何時まで続くのか、何時終われるのか、どの時点で勝利ということするのか、いまの段階では分からない。早期に勝利することを、願うばかりだ。