『米土のシリア介入はシリア戦闘員同士の戦い』

2018年2月 3日

 

 シリアの内戦は2011年に始まり、既に7年を経過している。初めはシリア国民同士の、政府と反政府の戦いであり、それほど大きなものではなかったろう。しかし、時間が経過するにつれて、外国がシリア内戦に手を出し始め、それぞれの国の都合によって、シリア内戦は継続されるように、なっていった。

 最初に手を出したのは、シリアに隣接するトルコだった。トルコにしてみれば、隣国の内戦が自国に、影響を及ぼすのは危険であり、何とか内戦はシリア国内に留めて、おきたかったのであろう。

 トルコはシリアの反政府勢力各派を集め、武器を与え、資金を与え、統一して行き、自由シリア軍(FSA)が誕生した。トルコはFSAをトルコに呼び寄せ、他の組織も巻き込んで、シリア内戦を終わらせる、和平会議のようなことを、何度も繰り返してきている。

 FSAの幹部たちは、いまではトルコ国籍も与えられ、住居も与えられ、トルコ政府が支払ってくれる給料で、優雅な生活を送っているのだ。戦闘員たちはと言えば、俸給は受けるものの、たいした額ではないのであろう。彼らが勇敢に戦っている、という話は聞いていない。

 次いでFSAに支援を始めたのは、アメリカだった。アメリカは物量作戦なのか、FSAに大量の武器を与えている。しかし、それらの武器の多くは、FSAによってアルカーイダや、IS(ISIL)側に渡されている。

 FSAの口実は、ある地点を通過する時に、安全に移動できるよう、一部の武器を敵側に渡している、ということだったが、それは実際には、戦闘員の収入に繋がっているのであろう。

 もう一つの戦闘集団はSDF(シリア防衛軍)という名前が付けられた。これはアメリカが組織したものであり、シリアの反政府勢力全てを結集し、IS(ISIL)やアサド体制に対抗させるというものだが、実際はアメリカにとって使いでのいい、クルドの戦闘員を中心とする組織だ。

 FSAは名目上、シリア国内全域で活動し、SDFはトルコに近いシリア北部一帯で、活動している。SDFはアメリカの庇護の下に、将来はシリアの北部地域を、自分たちの自治区、そして、その先にはそこを国家にしたい、と願っている。

 最近では、このトルコの傭兵集団FSAと、SDFとが戦闘を繰り返す様相が出てきている。つまり、シリア国民同士が戦っているのだ。そして、その二つのグループの背後には、トルコとアメリカが存在しているのだ。

 このまやかしの戦闘集団は、トルコとアメリカの関係が、良好な時は良かったが、最近のようにトルコとアメリカが、対立するようになると、立場は厳しいものになっていく。

 しかし、その事はトルコやアメリカの軍人にも、危険が及ぶようになる、ということでは無いのか。シリアの民兵たちが、何時までもトルコやアメリカの、傭兵としての役割を、続けるとは思えないからだ。