『イラクのブラック・リストは2段階だった』

2018年2月 8日

 イラク政府が発表したブラック・リストに、IS(ISIL)のリーダーであるバグダーデイの名が無い、ということはイラク政府が彼を死亡、と判断したからではないか、という推測を数日前に書いたが、どうやらそうではなかったようだ。

 最初のブラック・リスト(60人の名が記載されている)に次いで、第2段階目のブラック・リスト(7人の名が記載)が発表されたが、それにはバグダーデイの名が、記載されていた。当然といえば当然であろうが、このことはバグダーデイが生存している、という判断をイラク政府がいまだにしている、ということであろう。

 バグダーデイに次いでアブドルラハマン・カドウリの名前が挙げられている。今回のブラック・リストには7人の名前が並んでいるが、そのうちの5人は外国人(欧州人の意味か)、他はサウジアラビア人が2人、イエメン人が一人、カタールが人一人となっている。

 これらの7人は、最初のブラック・リストに掲載された人物たちよりも、もっと危険な連中だということのようだ。第2段のブラック・リストにはIS(ISIL)のメンバーに加え、バアス党残党メンバー、アルカーイダのメンバーも含まれていた。

 第一段階のブラック・リストにはサダム・フセインの長女ラガドの名前も載っているが、彼女と取り巻きは、ヨルダンのアブドッラー国王の庇護の下にいる。

 イラク政府はIS(ISIL)に対する、完全な勝利で自国を解放したことになり、これからは、これらの危険人物たち67人を捜索し、逮捕し、裁判にかけるということであろう。もし彼らが逮捕された場合、何処まで正式な裁判が行われるのかは不明だ。

 アラブ世界は部族世界であり、逮捕者のなかに、有力な部族の出身者がいた場合には、お目こぼしされることもあるし、シーア派とスンニー派の対立が、影を落とす場合もあろう。旧バアス党のメンバーの場合には、サダム・フセインの暗い影が、影響を及ぼす可能性もあろう。

 いずれにせよ、今回のイラク政府によるブラック・リスト発表は、IS(ISIL)との戦争の終りの締めくくり段階に、イラクが入ったということであり、歓迎されるべきであろう。

 アラブ世界はありがたいところで、もし逮捕された後か、逮捕される前に、国外逃亡に成功すれば、彼らを受け入れてくれる国はある。ウガンダの大統領もスーダンの大統領も、サウジアラビアが丁重に匿ってくれているのだから。