トルコ人の友人が事務所を訪問した。その彼との会話の中で、彼の祖国を思う気持ちが、ありありと見えていた。彼は最近のロシアの言動が、トルコとアメリカの戦争を、期待しているように思えてならない、と言っていた。
そうではないだろうが、ロシアはアメリカに対抗する意味で、アメリカに反発するトルコを激励するような発言を、しているものと思われる。アメリカの最近の中東での動きが、ロシアには許せないのであろう。
アメリカは状況が悪化すると、化学兵器を使用し、それはロシアやシリアによって使われた、と非難している。世界のマスコミを牛耳っている、アメリカにとってはまさに『嘘も百篇言えば本当になる。」という感じなのだ。
アメリカは最近のトルコ軍の動きに、神経質になっており、一方ではトルコに自制を求め、他方ではトルコを非難している。しかし、アメリカが非難するトルコの軍事行動を、ヨーロッパの多くの国々が『自国防衛の当然の権利だ。』と、トルコを擁護するようになってきている。
そうなるとアメリカの軍や傭兵、情報部員や外交官が、危険に直面することになろう。だからアメリカはトルコに対して自制を求めることを、繰り返しているのだ。
だが、アメリカもトルコに自制を求めながら、SDFやYPG、IS(ISIL)に対する支援を、止めていない。相変わらず、アメリカはこれまでテロリスト組織だ、と非難していた各組織に、武器の供与を続けているのだ。YPGに対する武器の供与について、トルコは再三に渡ってアメリカに、止めるように要請したが、まだ続いているのだ。
どうもこうしたことを考えると、トルコの友人が懸念するように、実はアメリカとヨーロッパ諸国、ロシアは裏で連絡しあい、トルコをアメリカとの戦争に押しやるように、動いているのではないか、とさえ思えてくる。
そう思えるほどトルコは、アメリカやヨーロッパから、嫌われているのだ。その原因を作ったのはトルコのエルドアン大統領であり、最初にそれを支援したのは、アメリカだったのだ。
マッチ・ポンプという言葉があるが、まさにトルコとアメリカとの関係はマッチ・ポンプであろう。そのマッチ・ポンプの裏で、苦しい状況に追いやられているのは、シリア人でありクルド人なのだ。
アラブの独裁国は次々と、消されていっているのはいいことだが、そのことは、国家と国民が中心を無くし、庶民は戦火の中で右往左往し、死んでいくだけなのだ。独裁は必要悪ではないか、とつくづく思える昨今だ