*トルコのエルドアン大統領が、アメリカに激怒している。場合によっては、アメリカ・トルコ戦争が始まるかもしれない、という懸念が沸いてきている。もちろん、トルコ軍とアメリカ軍が、直接戦火を交える、ということではない。*
中東でアメリカが最も信頼を寄せる、クルドを中心とするSDF軍を、アメリカが支援し、強化していることだ。その規模は30000人、兵器はアメリカが大量に送り込んでいる。加えて、SDF側はCIAに対して戦闘員に支払う給与の資金が、必要だとして、ドル資金の支援を申し出てもいる。*
*エルドアン大統領はこの事態を前に、SDFをせん滅させ、トルコの南部国境の安全を確保する、と激しく今回のアメリカ政府の、政策を非難している。それはそうであろう。SDFが強化されることは、トルコの安全保障上、最も危険なことなのだから。*
*忘れてならないのは、このSDF支配地域に、2000人のアメリカ兵と200人の外交官がいる、ということだ。エルドアン大統領が決定し、トルコ軍を戦わせれば、SDF支配下にいるアメリカ人は、全滅する危険性があろう。*
*アメリカとすればシリア北部で、SDFを強固な軍隊に育成できれば、念願のシリアのアサド体制を打倒することも、可能だと考えているのかもしれない。それは当然、シリアのアサド体制を支援している、ロシアにとっても腹立たしいことであろう。ラブロフ外相はアメリカのSDF支援政策に対して、『SDF支援策は、トルコとクルドの関係を破壊する。』と警告している。*
*また、ロシアと並んでアサド体制を支援している、イランにとっても激怒するに、十分な材料であろう。イランはシリアを手中に収めることにより、イスラエルをけん制し、地中海への回廊を確保しよう、と考えているからだ。*
*つまり、今回のアメリカ政府のSDF支援政策は、アメリカがトルコばかりではなく、ロシアやイランとも事を構える条件を、作り上げたということであろう。場合によっては、この事が第三次世界大戦につながる、危険性のあるものであろう。*
*バチカンの法王は『核戦争が近づいている。』と警告を発しているのだ。また国際政治の専門学者たちの多くも、第三次世界大戦が起こる懸念を、口にしている。そうした状況が生まれたのは、アメリカ経済の実質的崩壊に、起因していよう。*
*戦争は大きな破壊と悲劇を生む反面、新たな経済の市場を、創出することも確かだ。アメリカの今回のSDF支援は、トランプ大統領の愚かさが、生み出したものなのか。あるいは彼を裏で牛耳る連中の、悪魔の選択なのか、私にはわからない。ただ明らかなことは、その悲劇には、間違いなく日本も引き込まれる、ということだ。*