シリア北部のクルド民兵に、支援を続けてきたアメリカは、結局、シリア北部をシリア政府から分離し、自治区(将来の独立)にすることを、考えているようだ。その事を語ったのは、ディビッド、サッターフィールド近東担当次官補だ。
彼の語るところによれば、シリア北部はいまだ固定化しておらず、不安定な状態にあるため、アメリカは今後も継続して、同地域を押さえるSDFに対する支援を、継続していく、と語っている。
シリア北部のSDFが支配している地域には、現在2000人のアメリカの将兵と、10人の外交官が駐在している。そして彼らが今後のアメリカの、北シリアに対する政策を、展開していくということだ。
ディビッド、サッターフィールド近東担当次官補の語るところによれば、北シリア地域を安定化させ、政治的行政的基盤を確立していくということだ。そして、その政治機関はシリアのアラブ人だけではなく、トルコマン・シリア人、クルド・シリア人も加えていく方針だ。
ディビッド、サッターフィールド近東担当次官補の説明によれば,北シリアの地域にはクルド・シリア人だけではなく、多くのアラブ人も居住しているからだ、ということだ。
加えて、北シリア地域には農業地帯があり、エネルギー資源もあり、それらの資源は将来のシリアにとって、重要だということだ。
問題は、NATOのメンバー国であるトルコが、この地域に特別の関心を抱いることだ。つまり、クルド人が分離し、独立することを懸念しているのだ。その点については、ディビッド、サッターフィールド近東担当次官補も考慮しており、アメリカやロシアはその問題の解決を、検討していると語っている。
ディビッド、サッターフィールド近東担当次官補はこの問題の複雑さを、十分理解しており、2~3ヶ月の短期間で結論が出る、とは考えていないと語っている。またSDFに対しては、強硬手段を採るべきではない、という考えだ。
トルコが北シリア地域に、重大な関心を抱いているのは、この地域を実効支配しているSDF(クルドのYPGが主要な組織)が、将来へのクルド独立を、模索するのではないか、ということだ。
それは直接的にトルコ国内の、クルド人にも影響を与え、トルコのクルド人のトルコからの分離、という事態が予測できるからだ。トルコのPKK(クルド労働党)とYPGとの関係は、極めて強いと考えられており、シリアの北部での変化は、トルコ南東部のクルド地帯への、強い影響を与えるからだ。アメリカはその事を、考慮しなければならない、立場にあるということだ。