『中東短針』

2018年1月 8日

 

 中東のニュースを開いてみて、これはと思うニュースが無い日や、ニュースがあっても、あまり詳しい記事が無い日がある。そういう日は半分ほっとしながら、半分はがっかりもする。述べるまでも無くホッとするのは、犠牲者が出ていないか、出ていても少ないということだ。がっかりするのは、読者の皆さんにしかるべき報告を、書けないことだ。

 今日はそのような日なのかもしれない。しかし、時間が経過すると、今日出ていた記事が、後で大きな問題になっていくことはあろう。

 

:アハマド・ネジャド元イラン大統領逮捕

 イランでは元大統領だったアハマド・ネジャド氏が、逮捕されたようだ。その逮捕命令は、ハメネイ師によって発せられた、というのだから、それなりの意味があるのであろう。彼が反体制派の核になる危険性が、あるということであろうか。

述べるまでも無く、いまイランでは反体制側のデモが、昨年末から始まり、革命防衛隊や警察に押さえられたようだが、未だに小規模ではあるが、イラン各地で続いている、という報告がある。

イラン政府は官製デモ隊を大規模に組織し、各地で政府支持のデモをさせている。この反政府派のデモで、死者は20人以上、逮捕者は400人以上、と言われているが、逮捕者の数は1000人を超える、という話もある。真相はいまだ不明だ。

 

:レザ・パーレビ氏イラン・デモを語る

 パーレビ国王の子息レザ・パーレビ氏が、アメリカのワシントンでトルコのフリエト紙の記者のインタビューに答え、現状のイランに対する意見を述べている。彼によれば、いまこそイラン国民は意見を統一して、抵抗すべきだということだ。そして、そのイラン国民の声を代表するのは自分だ、とも語っている。

 イランで昨年末から始まった反政府派によるデモは、2009年のアハマド・ネジャド体制を潰すきっかけとなった、グリーン革命以来の大規模なものであった、と言われている。

 

:マクロン・リビアへの外国介入は成功していない

 フランスのマクロン大統領は諸外国による、リビアへの介入は成功していないと語った。リビアでは2011年の反カダフィ革命が起こって以来、国内は各派の対立で、戦闘が続いている。それが部族やイデオロギー、地域、民族などの対立となっているために、収まらないのだ。

 国連は傀儡のセラジ首相を送り込んだが、いまだに国内各派を纏められず,アメリカが送り込んだハフタル将軍も、勝利を収められないでいる、そこで担ぎ出されそうなのが、カダフィ大佐の子息のサイフルイスラームだが、まだ大統領選挙へ立候補出来るか否か、不明だ。

 こうした表舞台とは別に、裏ではリビア問題にアメリカ、イギリス、フランス、イタリアが介入しているのだ。その理由はリビアの石油が目当てであり、リビアの安定化ではあるまい。

 

:エジプトパレスチナの首都はエルサレムでは無くラマッラだ

 アラブ世界各国の統一した見解は、パレスチナの首都をエルサレムとする、ということなのだが、最近、エジプトは首都をエルサレムではなく、ラマッラにすべきだ、と言い出しているということが、ニューヨーク・タイムズ紙によってすっぱ抜かれた。

 このエジプト側の立場は、録音レープがあり、動かしようがないようだ。その事についてアラブ世界では、エジプトがついに本音を吐いた、と評している。つまり、パレスチナがエルサレムを、首都とすることに固執するために、イスラエルとの和平が進展しない。パレスチナ自治政府はいま本部を置いている、ラマッラを首都にすればいいではないか、という考えだ。

 アラブ諸国はエルサレムが、イスラム教の聖地であることへのこだわりはあるが、パレスチナ国家の首都にしなければならない、とは考えなくなってきている、ということであろう。エルサレムは国際管理下の聖地としての役割を、果たせればいいということであろうか。