NO:4798 1月8日 『エジプト・スーダンがエリトリア国境で緊張』

2018年1月 7日

 

 エジプトとスーダンの関係が、緊張してきている。その傾向は両国と接する、エリトリアの国境での問題だ。スーダン軍はエリトリアとの国境地帯に、数千人の軍人を送り込んだ。それはエリトリアがエジプ・アラブ首長国連邦との、協力関係に合意した結果だった。

 スーダン軍はエリトリアの東部カッサラの街に陣地を構え、国境を閉鎖したのだが、同じようにエチオピアも、エリトリアとの国境を閉鎖している。スーダンのバシール大統領は、カッサラとコルドファンに、非常事態宣言を出している。

それほど緊張している、ということであろう。エリトリア軍はエジプト軍の支援を受けている、と伝えられている。そして、エジプトとアラブ首長国連邦は、軍事的に協力関係にあるのだ。

 最近、エジプト軍とアラブ首長国連邦軍、それにスーダンの反政府組織と、エリトリアの治安担当者たちが、合同会議をサワ基地で開催したと伝えられている。この各国の緊急の動きの裏には、トルコのエルドアン大統領による、昨年12月のスーダン訪問が、関係しているようだ。

 エルドアン大統領のスーダン訪問時、トルコとスーダンとの間では、紅海に浮かぶスアキン島の譲渡が合意された。スアキン島はオスマン帝国時代に、トルコが領有していたわけだが、200年ぶりにトルコに戻った、ということだ。

 トルコとスーダンはこのスアキン島の譲渡について、その後は観光地にする、イスラム教の小巡礼(オムラ)のベースにする、と言っているが、多分に軍事基地として、使われる可能性が高い。

 トルコはスーダンに軍事訓練基地を、5000万ドル投資して設立することを、スーダンとの間で合意している。つまり、トルコは紅海からアフリカにかけて、軍事的影響力を拡大していく意思がある、ということだ。

 しかし、スーダン側はエジプトが突然、軍事攻撃をかけてくる危険性がある、と警告している。それはエジプトとスーダンとの間には、エチオピアの建設している、ルネッサンス・ダム問題で立場に違いがあるからだ。この問題にトルコが手を出してくれば、問題はますます複雑になろう。

このダムが完成すれば、エジプトに流れてくるナイル川の水量は、大幅に減少する見込みだ。それは述べるまでも無く、エジプトにとっては、死活問題なのだ。こうしたことから、スーダンがエチオピアのダム建設を、支持しているということが、エジプトとスーダンとの間に、緊張を生み出しているのだ。

 エジプトやアラブ湾岸諸国のマスコミは、スーダンがトルコやイラン、そしてカタールと協力関係を強化していくことを、警戒するニュースを伝えている。もし、トルコとカタール、そして、スーダンが軍事的に協力するようになれば、そこにイランが介入し、紅海周辺は、トルコに加えイランの影響力も、強くなるということだ。それはサウジアラビアにとっても、大きな不安であろう。