『M・アッバース議長の啖呵はハッタリだけか』

2018年1月 4日

 

 アメリカのトランプ大統領が、中東和平の遅延に業を煮やし、PAに圧力をかけた。曰く『和平を望まない者に10億ドルもの援助をくれてやるのは馬鹿らしい。』確かに彼の主張には一理あろう。

 中東和平がユダヤ教キリスト教イスラム教の、聖地エルサレムを抱える問題であることから、これまで長い間パレスチナ組織は、各国から莫大な援助を受け取ってきていた。パレスチナ自治政府幹部は、革命貴族の生活を送ってきているのだ。

亡くなったアラファト議長ですら、死後彼の資産が40億ドルを超えており、パレスチナ幹部が寄ってたかって、アラファト議長の妻を脅して取り立てた、と報じられている。

 今回のトランプ大統領のパレスチナ援助停止恫喝に対して、M・アッバース議長は『結構だ受け取らない。』と啖呵を切って見せた。彼は『金のために名誉や父祖の地を投げ

出す気はない。』とも言って見せた。

 その通りであろう。M・アッバース議長がここでひるんで腰を折っては、パレスチナ人全体の名誉が、失われることになるからだ。しかし、現実は緩くなかろう。アメリカのパレスチナ自治政府への援助が世界からの援助の中で、最高額に達しているのだ。

 アメリカ365億ドル、EU143億ドル、ドイツ7600万ドル、スエーデン3600万ドル、英6000万ドル、 サウジアラビア6100万ドル日本4300万ドルこの後にはスイスノルウエーオランダなどが続いている。

 アメリカのパレスチナ自治政府への援助は、世界からの援助の40%台であろうか。これが無くなった後で、その穴を埋められる国として、パレスチナ自治政府が期待できるのは中国であり、ロシア、サウジアラビアといったところであろが、これらの国にも限度があろう。

 日本政府にも援助の増額期待が寄せられようが、それほど増やせるとは思えない。つまり。もしアメリカが発表したとおりに実行すれば、パレスチナ自治政府は財政が破綻し、パレスチナ人は餓死する、ということであろう。

 そのような事態が現実には起こらないが、そうなった段階でM・アッバース議長は自分の隠し金を、どれだけ大衆のために、出すのであろうか。彼の懐にも何十億ドルという金があるはずだ。つまり、彼の隠し金は世界からの援助総額の,何年分かにあたるということだ。

 それをアラブ湾岸産油諸国の首脳たちが知らないはずはない。馬鹿らしいからもう援助を減らすか止めたい、といのが本音であり、それを知っているトランプ大統領が、思い切った発言をしたのであろう。

 リビアの故イドリス国王は、外国の石油会社が『国王おめでとうございます。石油が出ました。』と報告すると『石油より水が出てほしかった。石油が出たら誰も仕事をしなくなる。』といった趣旨の返事をしたと言われている。その後のリビアはその通りになった

 パレスチナを始め世界中から巨額の援助を受ける国々は、自助努力などバカらしくてやっていられない。援助をもらったほうが得だ、と考えているのだ。援助大国日本はもうそれを、自慢するのはやめたほうがよかろう。韓国や中国ですでに十分経験しているではないか。