『シリアでまたISが攻勢に』

2018年1月27日

 

 シリアのIS(ISIL)勢力はほぼ掃討された、という理解が世界中に広がっており、アサド大統領は勝利宣言したはずなのだが、ここに来て、IS(ISIL)は再度息を吹き返し攻勢に出ているようだ。

 アルハヤート紙が伝えるところによれば、シリアでは以前解放された、アブー・カマールでIS(ISIL)が攻勢に立っている。それ以外にも2箇所で、IS(ISIL)は息を吹き返している模様だ

 ユーフラテス川の西岸沿いの数キロが、IS(ISIL)の手に落ちている模様だ。このため、シリア軍兵士やシリア軍支持のミリシアが、相当犠牲になっているようだ。シリア軍側はIS(ISIL)の戦闘員が多数犠牲になり、彼らの武器も破壊した、と発表している。

 しかしIS(ISIL)側も対戦車ロケットで、多数のシリア軍の戦車を破壊した、と発表している。まさに大本営発表を、双方が行っているということであり、何が真実か分からない状況だ。問題は多くの人達が処刑されており、その数は53人にものぼり、そのうち子供の犠牲者は、21人だということだ。

 いまシリアのアレッポ州やハマ州、イドリブ州の17の村落も、彼らの手に落ちているということのようだ。

 一説によれば、アレッポやハマ、イドリブなどの80の村落を、IS(ISIL)は支配している、ということのようだ。それでは一体何故このような、IS(ISIL)の巻き返しが起こり、しかも、成功しているのか、ということが気になる。

 戦闘には戦闘員と武器と、資金が必要なのは、述べるまでも無い。それは誰が提供しているのかが、気にかかる。しかも、それらの支援は、一時期は止まっていたのであろうが、何故いまになって、繰り返されているのか。

 あるいはこれは、トルコ軍のシリア越境攻撃で、新たな危険が発生したことが、原因しているのかもしれない。これまで、IS(ISIL)のスポンサーはトルコであり、サウジアラビアであり、カタールだと言われてきている。これらの国々はシリアで、直接的な利害が絡んでいるのであろう。