アメリカはトルコのハルク・バンクに対して、イランとの間で、マネー・ロンダリングを行ったとして、375億ドルの罰金を果たした。この金額は膨大なものだが、その裏にあるのは石油収入であろう。イランはアメリカが決定した、経済制裁の下で石油を輸出しても、代金が受け取れなくなり、その事は外貨不足から、イランの輸入もままならなくなっていたのだ。
そのイランの経済的窮地に、助け舟を出したのが、トルコのエルドアン政権だった。エルドアン大統領はイランのレザ・ザッラブなる青年を支援し、イランに金のインゴットやドルを送るように、仕向けていたのだ。そのインゴットや闇ドルで、イランは経済の窮地を、しのげていたということだ。
この取引で多くのトルコの閣僚たちが、膨大な金額の賄賂を受け取ったり、レザ・ザッラブから高価なプレゼントを受け取っていた。ある閣僚は『俺が受け取ったのはこの時計だけだ。』と言って見せたのは、数千万円もする腕時計だった。
勿論、エルドアン大統領にも相当の賄賂が流れており、その問題が発覚したときに、エルドアン大統領が実子ビラールに対して、金を隠すように指示していた電話は、盗聴され議会で公表されることになった。その実子も彼の運営する、トルコ青年教育財団への寄付で、相当潤っていたのだ。
しかし、その後、アメリカ政府はこのトルコのマネー・ロンダリングを調査し始め、大筋が明らかになっている。事件の主犯格ともいえる、レザ・ザッラブのマイアミでの逮捕(アメリカ側への投降)で、事件の詳細が相当明らかに、なったものと思われる。
アメリカ政府はレザ・ザッラブを逮捕し、同時にトルコの国立ハルク・バンクの総裁アテッラ氏も逮捕している。今回アメリカ政府が発表した、トルコのハルク・バンクに対する罰金は、375億ドルという、巨額のものであった。
トルコ政府は罰金の支払いを拒否しているが、アッチラ氏が投獄されていることもあり、対米関係も考慮すると、支払わないわけには行くまい。そうなると、問題は支払う金額を幾らにするか、ということになり、その事をアメリカとトルコが、今後時間をかけて、交渉していくものと思われる。
レザ・ザッラブが語ったところによれは、1~1・5億ドルに対し、コミッションが0・4~0・5パーセントだったということだ。そしてレザ・ザッラブによって、動かされた金額が、200億ドルということだ。レザ・ザッラブはこのビジネスから、もし、レザ・ザッラブがこの取引で1・5億ドル得ていたとすれば、コミッションは0・4パーセントであり、総額375億ドルが動いていた、ということになる。
その巨額のダーテイ・ビジネスの成果も、本人が刑務所に入り、関係者の多くが非難されることになれば、元も子もあるまい。そして、この巨額の罰金はトルコの経済に対する信用を失墜させ、同国を経済危機に追い込み、エルドアン大統領の地位も、ぐらつくことになろう。