トルコのヌーレッテン国防大臣が、1月30日に記者会見を開き、シリアの軍事情勢を説明した。そのなかで彼は『シリア人の安全を考えなければ、作戦は最長15日で終えることが出来る。』と語っている、
ヌーレッテン国防大臣は『クルドのYPGは市民を盾に使って戦っているが、トルコ軍は細心の注意を払って、戦っているのだ。』とも語った。彼は戦闘が長引いている理由はそこにあり、トルコ軍はYPGから特攻攻撃を5回受け、FSAも24回受けていると語っている。
トルコ軍側はこれに対して、空爆で応戦し、458のYPG拠点を攻撃し、649人のYPGの戦闘員を殺害している。陸軍の攻撃はYPGの4370の拠点を、攻撃したとも語っている。
こうした状況を受け、野党第一党のCHP議員は、トルコがFSA(自由シリア軍)との協力作戦を展開しているが、FSAはやがてトルコの敵に回るだろう、と警告している。確かにそれは十分ありえよう。トルコはシリアの北部地域を奪取し、トルコ領に併合しよう、と考えているからだ。
FSAが何処までシリア内戦で、優位に立てるかは、保証の限りでは無いが、彼らもシリア国民であり、トルコが自国領土を奪うという段階では、銃口をトルコ軍に向けるのは、当然であろう。現段階はあくまでも、アサドと彼の体制が、トルコ・FSAにとって、共通の敵になっているための、共闘以外の何物でもないのだ。
トルコはシリア内戦に手を出したことにより、多くの損失を生み出しているのではないか。エルドアン体制とアメリカとの関係は、完全に信頼を失っているし、EUとの関係も、決していい状態にはない。
シリアの前線では、次第にトルコ軍の犠牲が、増えてきてもいる。イスラム学者の一部は、『シリアのアフリンでの戦闘はジハード(聖戦)だ。』と戦争を鼓舞する発言をしているが、トルコ国民は醒めており、その言葉を信用してはいまい。
トルコ国民のそのような感情は、トルコに居住するシリア難民に対する対応でも、明らかになってきている。いまではシリア難民が、トルコ国内で襲撃されたり、非難されるケースが、増えているのだ。
その事もあってか、トルコ政府はアフリン作戦を、一日も早く終わらせ、トルコに居住するシリア難民を、シリアに追い返したい、ということのようだ。最近発表された数字によれば、トルコに居住するシリア難民の数は、500万人を超えたということだ。その多くはトルコで生まれているのだ。