いまエルサレムをめぐって、エルドアンとイスラム世界が、一つのグループになり、もう一方には、サウジアラビアとアメリカがいる。この二つのグループの対立は、こじれようによっては、世界を分断することに、なるかもしれない危険な要素を含んでいる。
エルドアンとイスラム諸国は、宗教の正当性により、物事を判断しようとし、宗教的なプライドがかたくなな立場を、取らせているのかもしれない。他方のサウジアラビアとアメリカは、持てる資金力で世界をねじ伏せよう、としているのであろうか。
しかし、アメリカの金にものを言わせる、世界への対応はどう見ても、紳士の行動とは思えない。『アメリの方針に反対した国には、経済援助はやらない。』と言うアメリカの国連代表、ヘイリー女史の発言は脅し以外の、何物でもなかろう。しかもその与えるイメージは、すこぶる汚れた品の無いものだ。
このアメリカの脅しの外交は、早速グアテマラをして、大使館をテルアビブからエルサレムに移す、と発表させた。アメリカに先んじて、大使館を移設することで、グアテマラはアメリかとイスラエルの、同国に対する印象を、良くしようとしたのであろう。
イスラエルのネタニヤフ首相は以前『やがて多くの国がアメリカに続いて、大使館をエルサレムに移す。』と語っていたが、その兆候が明らかになってきた、ということであろうか。
一方の旗頭であるトルコも、経済的困窮からか、どうもアメリカに妥協しつつあるような、気配が見えるのは、私だけであろうか。同国の経済は大赤字であり、外国からの資金の流入無しには、成り立たない状態にあるのだ。
同様の経済的困窮は、パレスチナ自治政府も同じであろう。エルドアンや他の世界のリーダーたちに持ち上げられ、反米の立場を打ち出し、エルサレムのイスラエルによる、独占的支配は認めない、とは言ったものの、もしアメリカの援助が止まれば、座して死を待つのみであろう。
そうしたなかでサウジアラビアのムハンマド・ビン・スルタン皇太子は、パレスチナ自治政府の議長である、マハムード・アッバース氏に対して『アメリカに妥協しろ。』と呼びかけている。
そうは言われても、マハムード・アッバース議長も立場を、容易に変えるわけにはいくまい。どのような理屈が、それを可能にさせるのかが、今後の見どころであろう。