トルコはいま経済的に、非常に難しい局面に、立たされているようだ。このことは、2019年に予定されている、大統領選挙にも直接影響を及ぼすために、エルドアン大統領は必死にこの難問を、解決するか逃げようとしている。
エルドアン大統領とトルコの中央銀行は、対応策で真正面から対立している。エルドアン大統領は金利を上げたくない、中央銀行は金利を上げなければ成り立たなくなる、という違いだ。
エルドアン大統領に言わせれば、金利を上げることは、物価を上げ、インフレを産む、と考えているようだ。それは国民のエルドアン離れ現象を、起こす可能性がある。
しかし、金利を上げなければ、外国からの資金投入は起こらず、トルコの外貨準備は底をつき、国家的破産につながる、ということだ。それで中央銀行は金利を上げるべきだ、と主張している。
述べるまでもなく、トルコの経済は大幅な外国からの、投資によってメガ・プロジェクトを進めてきていた。その外国から入ってきている資金への、金利の支払いも、大変な困難を生み出しているのだ。
そうした経済事情のなかで、今回のエルサレム問題での、トルコ政府の立ち位置は、まさに反アメリカの旗頭、となっていたのだ。アメリカ政府はトランプ決定を拒否する国に対しては、経済援助をしない、と明言している、つまり、今回のエルサレム問題で、トルコはアメリカの援助を、受けられなくなる、ということだ。
それにも関わらず、エルドアン大統領が強気なのは、何故であろうか。それは簡単に言ってしまえば、アメリカに代わるスポンサー国が、登場して来ている、ということであろう。
その新たなトルコのスポンサー国は、中国のようだ。混乱と窮状にあるトルコに対して、中国の幾つかの銀行が、資金投入を約束したのだ。例えば、トルコのイシュ・バンクは、中国の輸出入銀行から、4億ドルのローンを受けることになった。また、トルコのズィラアト・バンクに対しては、中国開発銀行から6億ドルの融資を、受けることが決まっている。
トルコのシムシェク副首相は、中国がトルコのインフラに投資する意欲が、強いことを強調している。トルコを訪問した中国のワン代表は、中国銀行、経済産業銀行などが、トルコと協力する方向にある、と語っている。
さて、その中国側のトルコへの支援は、何が見返りなのかということだ。この話が進めば、トルコは完全にアメリカとの関係を、終わらせることになろう。