サウジアラビアの元駐米大使であり、その後サウジアラビアの情報長官を務めた、トルキー・ファイサイル王子がトランプ大統領の、エルサレムに関する決定を強く非難する、発言を行った。
トルキー王子は故ファイサル国王の子息であり、彼の兄弟は外相を務めていた。それだけに彼の発言の意味は重い。しかも、その発言はサウジアラビアのサルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子を、直接非難する内容になっているのだ
トルキー王子は今回の決定が、地域と世界に流血と闘争を、産むことになろうと語っている。エルサレムをイスラエルの首都と認めることは、まさに地獄の門を開くようなものだ、と言っているわけだ。
サルマン国王はトランプに対して、そのような決定はすべきでない、と忠告すべきだった、ということでもある。しかし、実際にはこのことについては、トランプ大統領とサルマン国王の間では、話し合われなかったのであろう。そうであるとすれば、サウジアラビアはアメリカに軽視されている。ということではないのか
彼の兄弟のサウード・ファイサル王子が、外務大臣の時代には、67年国境がアラブのコンセンサスとなっていた、その中にはサウジアラビアも、含まれていたのだ。
今回のトランプ大統領の決定で、テロリストは正当な権利を得たも同然であり、世界中でリクルートが容易になろう。そして、多数の罪なき庶民が殺されることになろう、とも語っている。
こうしたトルキー王子の発言が、表面化する中で、サルマン国王がパレスチナ自治政府のアッバース議長に、トランプ大統領の決定を受け入れるよう、圧力をかけたという情報が流れている。
もし受け入れなければ、パレスチナ自治政府はサウジアラビアからも、アメリカからも経済援助を、受けられなくなるということであろう。まさに兵糧攻めではないか。しかし、もしアッバース議長がサルマン国王の要求を受け入れれば、アッバース議長は失脚する可能性が高かろう。
今回のトランプ大統領のエルサレムに関する決定は、サウジアラビアのサルマン国王を窮地に追い込み、同時にムハンマド・ビン・サルマン皇太子を追い込み、アッバース議長も追い込んだということであろう。それをトランプ大統領は予測していたのであろうか。
予測していなかったとすれば、彼と彼のスタッフは、実に愚かとしか、言いようがなかろう。またそれを分かったうえで進めたのであれば、アメリカにはサウジアラビアを崩壊させる、意図があるということになろう。