『中東短信』

2017年12月20日

 

 今日はこれといった、まとまった情報が無いので、幾つかの今後重要度を増しそうな情報を、お伝えすることにした。述べるまでも無く、いま中東ではエルサレムをめぐる、アラブやムスリム諸国の、国連での攻防が第一の重要性を持つニュースとして、幾つもの解説が出ている。

 しかし、これは大体予想していたものであり、アメリカ対イスラム世界という形だが、多分に、トルコのエルドアン大統領の、自己宣伝の匂いがする。しかし、今後世界中のムスリムが暴発する、危険性ははらんでいよう。注視し続ける必要があろう。

 それと関連するとは思えないが、ロシアのプーチン大統領が『中央アジアにおける、イスラム・テロの危険度が上がって来ており、警戒する必要がある。』と語っている。元KGBのプーチン大統領の発言であり、しかるべき具体的な動きが、あるからであろう。

 イラクのジャースム・ジャアファル議員は、過去の合意に沿って、外国軍はイラクとシリアから撤退すべきだ、と強調している。その外国軍とは、イラン軍であり、アメリカ軍でありトルコ軍だ。

この外国軍の撤退について、ジャースム・ジャアファリ氏はイラクを含む、4か国間で合意されたものだと語った。しかし、最近の各国の動向を見ていると、アメリカは10か所以上の軍事基地を、イラクにもシリアにも建設しており、半永久的に留まりそうだ。

イランはイランからイラク、シリア経由で、レバノンの地中海岸に繋がる回廊を、確保した状態にあり、容易にイランの革命防衛隊を。移動させることができるようになっている。しかも、その革命防衛隊は、いまではイスラエルとの国境に近い、シリア国内に軍事基地と武器製造工場を、持つに至っている。これは当分居座る、ということであろう。

トルコは以前から大オスマン帝国の妄想が拡大し、シリアやイラクの混乱に乗じて、両国北部の領土を切り取り、自国領土としたいようだ。もちろん、トルコはシリアやイラクのクルド人や、IS(ISIL)を始めとする、イスラム・テロリストの危険を主張し、シリアやイラクへの軍事進出に、正当性を付けている。

最近、サウジアラビアの学者がイスラエルによる、エルサレム支配に正当性を持たせる発言をし、イスラム世界なかでもアラブ世界で、大きな問題になりつつある。彼に言わせると『イスラエルにはエルサレムを領有する、歴史的な根拠がある。我々にはメッカとメジナという、二つの聖地があるのだから、彼らの聖地も認めてやるべきだ。』という趣旨の発言をし、問題化したのだ。