*ロシアがシリアでの成功を踏み台にして、リビアの内戦問題解決に乗り出す意向を、明らかにした。イワン・モロツコフ在リビア・ロシア大使が、その状況を語っている。イワン・モロツコフ大使はリビアが、軍を統一できれば、現在リビアに対して行われている、武器輸出への制裁を、外すと語った。*
*イワン・モロツコフ大使はアメリカとの協力の下に、リビア内戦問題の解決に乗り出すと語り、それは米露双方の意向によって、進められるということのようだ。その第一の条件は、リビアにはIS(ISIL)ばかりではなく、多くのミリシア組織が存在し、戦闘が続いているため、リビア軍を統一することが、条件となっている。*
*テロ組織やミリシア組織を排除し、リビア軍を統一できれば、外国から入ってくる武器が、そのような危険な組織に渡ることが無いので、武器輸入に対する規制を排除できる、ということだ。*
*この新たな動きのなかで、頭角を現してきているのは、西のトリポリを拠点とするセラジ首相よりも、東の政府を代表する、ハフタル将軍ではないかと思われる。ハフタル将軍はつい最近も、ベンガジでテロ掃討作戦を実行しているが、セラジ首相はリビア西部のミリシアを押さえるどころか、ミリシアから圧力を受けている、状態だからだ。*
こうした動きのなかで、セラジ首相はチュニジアを訪問し、軍の幹部と会談している。セラジ首相は国連が作り出した傀儡であり、軍事的な力は全く持っていないし、リビア人の間で人望も無い。それに対して、ハフタル将軍の方は、軍事組織を持っており、それが戦闘可能な集団であることから、リビアの各ミリシア組織や地方部族組織から、一目置かれて当然であろう。
ロシアのこのリビアに対する新たな動きは、成功するのであろうか。アメリカとの協力の下にとロシア大使が述べているのは、シリアでの経験からであろう。アメリカはシリアに於ける、ロシアのIS(ISIL)掃討作戦で、ロシアの邪魔をし続けたからだ。
リビアには既に、相当数のIS(ISIL)戦闘員が侵入しており、一時期はカダフィ大佐の故郷、シルテの街を占領していた。そこからIS(ISIL)が追放されたのは、ミスラタのミリシアやハフタル将軍の、部隊の攻撃を受けた結果だった。
そのIS(ISIL)はいまシルテから逃れ、シルテの南方150キロほどの砂漠に、拠点を移しているということだが、そこの部族と手を結んだのであろう。しかし、それは極めて脆弱な連帯だろう。リビアの部族はIS(ISIL)のために、生命を賭して戦うとは、思えないからだ。
リビアが大産油国であることから、アメリカはリビアにIS(ISIL)を、送り込んだのであろう。また、アメリカはリビアに軍を、送り込んでいるようだ。そうだとすれば、アメリカとの間にきちんとした、合意が結ばれていなければ、ロシアはリビア問題の解決に、相当苦労することになろう。
もし、ロシアがシリアに続いて、リビアでも内戦平定に、成功することができれば、国際社会でのロシアに対する評価が、相当上がるものと思われ、その反面、アメリカは国際的に、信用を失うことになろう。