いま世界の耳目は、パレスチナのエルサレムに、集まっている。そのために、他で起こっている出来事は、影が薄くなっているようだ。しかし、トルコのマネーロンダリング・賄賂の問題にしろ、エルサレム問題にしろ、北朝鮮の核問題にしろ、止まってはいない。確実に動いているのだ。
アメリカではどうやら、ザッラブと司法当局との間で、大分話が進んでいるようだ。ザッラブが肝心なことを、話し始めているのだ。それはアメリカの司法当局には、既に伝えられているのであろうが、公式な場でそれが出始めている、ということだ。
ザッラブは一連のマネーロンダリング問題は、エルドアン大統領の命令で行われたものだと語り、巨額の賄賂をトルコ側に渡し、それが政府高官の間で、分配されていたということだ。
勿論、その賄賂を受け取った者たちは、エルドアン大統領であり、彼の義理の息子のベラト経済相であり、彼の兄弟やエルドアン大統領の、実子ビラールも含まれている。それ以外には、経済大臣だったチャーラルヤン氏や、他の政府高官、ハルク・バンクのトップのアッテイラ氏などだ。
ハルク・バンクの幹部の名も既に上がり、既にアメリカ当局側が、一部を逮捕しているが、問題はハルク・バンクだけでは済まなそうだ。トルコのほかの銀行名が、既に挙がっている。それらも含めて、今後アメリカの制裁を受け、しかも罰金を取られるとなると、相当の額にのぼり、トルコの経済は機能が、停止してしまうのではないか。
例えば、いまの段階で上がっている、トルコの銀行にはズイラアト・バンクだが、銀行の規模はそれほど大きくは無い、ということのようだ。やはり、ハルク・バンクへの影響が、一番懸念されるところであろう。
これ以外には、アキフ・バンクの名も挙がっていたが、ベラト経済相が社長をしていたこともあり、早い段階でザッラブとの関係を、絶ったことから問題にはならないようだ。いずれにしろ、これらの銀行に対する、アメリカによる締め付けは、トルコ政府に少なからぬショックと、不安を与えていることであろう。
最近、フィッチは2018年のトルコ経済について、問題はないという報告書を出した、とトルコのマスコミは伝えているが、実際はどうであろうか。私に言わせると大きな不安がある、ということになるのだが。
その根拠は、ハルク、バンクに対する罰金が、巨額に上るであろうということ、トルコ政府に対する信用が落ちること、外国からのトルコへの投資資金が、流れて来なくなること、対米関係が悪化することなどだ。しかも、アメリカのザッラブ裁判が進むにつれて、エルドアン大統領の関与が鮮明になり、彼に対する信用もガタ落ちになる、可能性が高いからだ。
来年はもうすぐそこまで来ているが、来年のことを語ると、鬼が笑うというらしい。鬼が笑いエルドアン大統領が泣くのが来年か。