確か1987年だったと思う。最初のインテファーダが起こり、それは武器を持たないパレスチナ人たちが、イスラエルの軍事支配に対して、石を持って立ち上がった抵抗だった。
そのため、この戦いインテファーダは読売新聞の記者によって『石の抵抗』と名付けられた。その中で多くの犠牲が出たことは、述べるまでもない。石と銃の戦いだったが、石を投げつけられる若いイスラエル兵は、自制が効かなくなり折々、銃を発射したからだ。
それでも、その後終焉を迎えた。そしてそれから4~5年し、2000年代の初頭に、第二次インテファーダが起こった。ここでもパレスチナ大衆の中に、多くの犠牲が出ている。
これらのインテファーダが起こった理由は、いずれもパレスチナ問題に解決の出口が見えず、追い込まれた時に起こっている。やり切れない怒りの気持ちを、パレスチナ人たちは投石で、抵抗し憂さを晴らしたのだ。
今回も状況は同じだ。あるいは過去のいずれよりも、深刻なのではないか。アメリカのトランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と認める、と言い出し、全てのエルサレム(東西)を、イスラエルの主権下に置くことを、認めたのだ。
もちろん、これは国際合意に反するものであり、何の正当性もない。トラン大統領の気まぐれの結果、と言えば言い過ぎであろうか。彼はパレスチナ人に国を持たせる、とも言い出しているが、それは到底パレスチナ人が、受け入れられるものではない。
分断された細切れの、少しばかりの土地を、パレスチナ人の国家にする、というのだ。難民の帰還の権利も、認められていない。そして、新生パレスチナ国家の首都は、エルサレムに近いアブ・デスだというのだ。
ただアブ・デスについては、アラファト生存時に暗黙の合意が、生まれていたという情報もある。アブ・デスのビルの窓からは、エルサレムの黄金のドームが、見えるからいいではないか、という馬鹿にした話だ。
今回のこの問題について、ある日本人が『大した抵抗はアラブのどの国にも出来まい。』という楽観論を述べていた。それはそうであろう。エジプトもサウジアラビアも、リビアもイラクもシリアも、イスラエルと戦争を始めることは、あるまい。
しかし、大衆はどうであろうか。ある専門家は『個人的テロが増えるだろう。』あるいは『テロ組織はこれを好機として、テロ活動を活発化するだろう。』と予測している。そのテロはアラブ世界でも、起こるだろが、それ以上に欧米で、起こるのではないのか。
今週の金曜日からインテファーダを始め、それはとりあえず3日間続く、とハマースのハニヤは語った。そのあとに状況はどうなるのか。思いのほか長期化する危性もあるのではないか。
忘れてならないのは。いまのパレスチナ人には、銃を始めとする火器がふんだんにあり、ロケット弾もある、ということだ。飛んで来るのは石だけではないのだ。