NO:4792 1月1日 『2018年中東で何が起こるのか』

2017年12月31日

 

 毎年年末には、次の年に何が起こるのかを、自分なりに予想してみている。そして、それはこのブログに、掲載することにしている。それは予想が遊びではないという、考え方から出ているのだ。

 『あいつの予想はほとんど外れている。』とは言われたくない。ただ何事にも時間的ずれはあるだろう。IS(ISIL)のイラクやシリアでの役割は終わった、と書いたのは確か1年以上前だったと思う。それが現実化するのは、私の予想よりは遅れたが、当たっていたのであろう。そして彼らがリビアやアフガニスタンに移動するだろう、という予測もあまり間違っていなかったと思う。

 外れた予想も沢山あるだろうから、この辺でやめておこう。私は国際情勢の予想屋ではない。予想は私の本業ではない。当たっても自慢にはなるまい。さて、2018年の中東は、どんな状況になっていくのであろうか。

 

:トルコ

 トルコのエルドアン大統領による独裁は、今年こそ終りを迎えるのではないだろうか。2016年以来あまりにも多くの人達が、犠牲になってきている。その人達のなかには、沢山の友人たちがおり、彼らは会社を没収され、刑務所に投獄されている。

 今年エルドアン大統領が打倒されるだろう、という予測は対米関係が、あまりにも悪化しているためだ。これまで、アメリカはエルドアン大統領を、快く思っていなかったが、利用価値があるとして、悪役をやらせていたのであろう。その代償は権力維持だった。

 IS(ISIL)もイラクやシリアでの役割が終えたように、そのIS(ISIL)を支援していたエルドアン大統領も、終りのときを迎えるということだ。

 

:サウジアラビア

 アメリカは基本的に、中東に大国を置きたくない、という考えだ。エジプト、サウジアラビア、トルコ。イランなどは、中東を代表する、大国であろう。エジプトはイスラエルとの和平締結で、攻撃対象から外れているのであろう。トルコはイラクとシリア破壊で、利用されていた。イランはいまアメリカが最も厳しい、対応をしている国だ。

 そしてサウジアラビアだが、アメリカはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子をおだて上げ、脅して、大量の武器を買わせ、イエメン戦争を継続させ、イラクやシリアに原理主義者の、戦闘員を送り出させ、IS(ISIL)など原理主義テロリストたちに資金や武器を、与えさせて来ていた。また、国内では汚職追放という名目の、クーデター封じ込め作戦をさせ、イランと敵対的姿勢を取らせている。

 しかし、アメリカは決してムハンマド・ビン・サルマン皇太子の、盟友ではない。皇太子にとってはいずれのアメリカの助言も、将来付けを払わせられる、大問題であろう。女性の運転を許可することは、日本の常識では全く問題ではなかろうが、イスラム教のワハビー派のサウジアラビアでは、革命的なことなのだ。保守派の多くはそれを嫌っており、反体制側の人士はそれを利用して、政府攻撃に出るだろう。

 イランとの間で、アメリカはサウジアラビアの代わりに、戦争を始めることはありえず、サウジアラビアがイスラエルにそそのかされて、武力衝突を起こす可能性があろう。しかし、サウジアラビアがそれで、勝利することはありえまい。数年後にはそれらの後遺症が、顕在化しサウド王家は、危険な立場に追い込まれるのではないか。

 

:イラン

 アメリカは口汚くイランをののしり、経済封鎖をし、核問題で難癖をつけている。そうした状況を見ていると、明日にでも、アメリカがイランに攻撃を仕掛けるのではないか、と思えるのだがどうなのであろうか。

 私の友人のある中東人は『アメリカがイランを軍事攻撃することは、ありえない。やるのは体制の変更工作だけだ。』と断言している。確かにそうであろう。アメリカはクウエイト、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン等に軍事基地を持ったり、軍事協力関係を結んでいる。

 それに対して、イランは海軍力を含む、軍事力を増強してきており、戦争が始まればアメリカは、負けないとしても相当の痛手を、こうむることが予想される。そこでアメリカが始めたのが、イラン国内でデモを起こさせ、それを暴動にし、政府に弾圧をさせ、結果的に革命を、起こさせることではないか。

 いまイランでは全国規模で、反政府デモが起こっているが、それは近く暴動に変わろう。そして軍や警察による弾圧、流血そこから革命が始まろう。多分そこまで行くのには、あまり時間がかからないのではないか。今の時代はインターネット、モバイルが即座に、国内で起こっている状況を伝え、外国の反応も伝えるからだ。

 

 どうやら、2018年という年は、中東大混乱の年、ということではないか。ヨルダンのアブドッラー国王も、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と同じように、反国王派の王族や有力者を、逮捕し始めている。それは、大分ヨルダンの国内情勢が、不安定化してきているからであろう。そして、それは国王追い出しを考える、イスラエルとパレスチナ自治政府、アメリカの意向に沿ったものではないのか。